ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【アイリッシュ】カネマラ・オリジナルを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】カネマラ・オリジナルがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 アイリッシュでは唯一のピーティなシングルモルトである、『カネマラ』。フレッシュでスコッチとはまた違った魅了を兼ね備えています。本日は、『カネマラ・オリジナル』について見て、飲んでみたいと思います。

 

カネマラ・オリジナルについて

カネマラ オリジナル ピーテッド シングルモルト 40度 700ml [並行輸入品]

 アイリッシュで唯一のピートが焚き込まれた麦芽を使用して作られたシングルモルトである『カネマラシリーズ』。ラガヴーリンやラフロイグに対抗する為に製造されたと言われています。

 一般的に、アイリッシュは未発芽の大麦等を一定量原料として使用して3回蒸留する事で、アイリッシュらしい、まったりと、軽い酒質にします。(シングルポットスチルウイスキー)詳細を知りたい方は、以下リンクを参照下さい。

chikurya-whisky-tokidokiwasyoku.com

 しかし、本銘柄はアイリッシュで多い製法ではなく、スコッチと同等の製造方法で製造される珍しい銘柄です。且つ、ピートが焚かれた大麦を使用します。

 現在では、アイリッシュの中では、異色な存在である『カネマラ』ですが、実は元々のアイリッシュはピートを焚くことが主流であり、『カネマラ』が造られているクーリー蒸留所付近ではピートが昔から盛んに採れる地域でもあります。その為、アイラモルトの後追いというよりは、復古銘柄と表現する方が正しいのかもしれません。

 ピート系の聖地と言われるアイラモルトとの違いは、本銘柄はフレッシュさと、さらっと飲みやすいアイリッシュの面影を感じる点にあります。『カネマラ・オリジナル』は4年、6年、8年のモルト原酒をヴァッティングしており、且つバーボン樽で熟成している為、フレッシュさに加え、バニラのような甘味を感じる、味の幅が広い点が特徴です。

 口に含むと、まずフレッシュさを感じた後、ピーティさとピリッとしたスパイシーさを感じます。そして最後にバーボン樽由来のバニラのような甘味がきます。サラーっと飲めてしまうのが本銘柄の罪深い所です。非常に優秀な銘柄ですので、ピーティさをウイスキーに求められている方は是非一度試してみて下さい。

 ちなみに、ピーティ度合いを示すフェノール値は14ppmと比較的低い(ボウモアが25ppmあたり)ですが、個人的にはボウモア位のピーティさを感じます。ラフロイグのような苔由来のヨード感は感じません。

 

クーリー蒸留所について

引用元:Cooley Distillery - Whisky.com
 クーリー蒸留所は1989年にジョン・ティーリング氏によって創業を開始しました。ポットスチルに加え、連続式蒸留器が設置されている蒸留所になります。つまり、シングルモルトに加え、グレーンウイスキーも製造できる為、幅広い種類のウイスキーを生み出すポテンシャルを秘めた製造所となります。創業者のジョン氏は『アイリッシュの革命児』と呼ばれており、積極的にアイリッシュの型を破る挑戦をしています。

 大元のアイリッシュは2回蒸留のピート麦芽を使用するスタイルでしたが、英連邦政府が歴史的対立等から、大麦麦芽に超高額の関税をかけた為、税逃れの為に未発芽の麦芽やピートを焚かない原料を使用したのが、現在のアイリッシュのスタイルとして定着したと言われています。その為、ジョン氏の挑戦は、アイリッシュの威厳を取り戻す挑戦と言えるのかもしれません。

 代表銘柄として、『カネマラ』に加え、シングルモルトの『ターコネル』やコーンのみを原料としたシングルグレーンの『グリーノア』等があります。

 クーリー蒸留所は2011年にビームグローバル社に買収され、ビーム社は後にサントリー社に買収されて現在に至ります。クーリー蒸留所はチャレンジ精神旺盛で、目が離せない蒸留所の一つです。

 

テイスティング

 フレッシュさが他のピート系の銘柄との違いである為、その点を特に楽しめる飲み方は、ストレート、ロック、ハイボールではないかと思います。その他の飲み方も美味しいです。

■ストレート

 香りとしては、優しいピーティーな感じが漂いますが、アルコールの刺激的な感じはなく紳士的です。『少し臭う、紳士なおじさん』といった感じです。口に含むと、搾りたてのフルーティ感(青りんご?)の中に、ピーティさとバニラやハチミツのような甘味を感じます。おいしい。 

 

■少量の加水

 フルーティな香りがより立ちました。ストレートが苦手という方には良いかもです。

 

■トワイスアップ

 飲みやすくなりました。トワイスアップでもフルーティ感を十分楽しめる銘柄です。ただピート感を求める場合は、あまり期待しない方が良いかもです。

 

■ロック

 ピート感が強くなりました。『少し臭う、紳士なおじさん』から『けっこう臭う、ダンディーなおじさん』へと変化しました。本当にフェノール値14ppm?と思ってしまいます。その中にもフレッシュさは健在です。おいしい。

 

■ハイボール

 おいしい。爽やかさとフレッシュさと若干のピーティさを感じます。表現が難しいですが、『グレンフィディック12年』に『ボウモア12年』を合わせた感じでしょうか。 

 

 以上、本日はアイリッシュで唯一のピーティなシングルモルト『カネマラ』のオリジナルについて見てきました。ピーティなのにこのフレッシュさがたまりません。