【1】グリーンスポットがどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
本日は、アイリッシュの伝統的製法で造られ、みずみずしい青りんごの様な風味を持つ『グリーンスポット』について見ていきます。アイリッシュの実力派銘柄です。
グリーンスポットについて
グリーンスポットは、アイルランドで有名なワイン商社のミッチェル&サン(Mitchell&Son)社が所有するブランドであり、現在はジェムソン等で有名なミドルトン蒸留所に委託して製造、販売しています。
アイリッシュの中でも、シングルポットスチルウイスキーと言われる種類に分類され、原料の一部に未発芽の麦芽を使用し、3回蒸留する(一般的には2回蒸留が殆ど)ことで、オイリーさと、ライトな酒質がベースとなります。そこに、ワイン商社としての、樽の目利きのスキルが加わっています。
銘柄名の由来は、熟成年数に応じて樽にペンキで印をつけていたことに起因しております。かつては7年はブルースポット、10年はグリーンスポット、12年はイエロースポット、15年はレッドスポットとして販売していました。
その後2012年にリニューアルされ、メインで生産されているのは、グリーンスポットとイエロースポット12年になります。グリーンスポットはこのタイミングで10年表記からノンエイジに変更になっていますが、約7~10年の熟成を経て出荷される為、極端に熟成期間が短くなっている訳ではありません。
熟成樽の構成は、トーストされた新樽とリフィル(再利用)されたバーボン樽、そしてシェリー樽になります。私の感想として、シェリーの要素はそこまで強くなく、バーボンの様々な特徴と、ポットスチルウイスキーのスパイシーさが中心のテイストに仕上がっているように感じます。そこに、青りんごのようなみずみずしいテイストが加わり、とてもバランスが良い仕上がりです。
当時は、年間6,000本程度しか製造されない、知る人ぞ知る銘柄でした。その為、購入できる場所も殆どがアイルランドに限られていました。しかし、近年では世界中のウイスキー愛好家に本銘柄の魅力がばれ始めており、生産数は倍程度まで増やしているとの事です。元々、ワイン商ということもあり、フランスとのつながりが強い銘柄ですので、フランスでも購入できるようになっており、加えて米国、日本等でも購入ができる銘柄です。
ミドルトン蒸留所について
引用元:Jameson Distillery Midleton - All You Need to Know BEFORE You Go (tripadvisor.com)
1966年にジェムソン社とその他2社が合併して造られたのが本蒸留所です。流石、アイリッシュのグローバルシェアが70%を超えているだけあり、非常に規模が大きいことでも有名です。
割りと最近に建てられた蒸留所なのかと思われるかもしれませんが、本蒸留所の前身は1825年に創業を開始した旧ミドルトン蒸留所であり、現在は博物館として使用されています。(上記の写真)また、周辺も観光地化しており楽しめる街並みとなっています。
本蒸留所はアイリッシュの伝統をどの蒸留所よりも大切にしており、アイリッシュ特有のオイリーさと酒質の軽さを追求した『シングルポットスチルウイスキー』を丁寧に製造しています。
本蒸留所が造るウイスキーとしては、『ジェムソン』、『レッドブレスト』、『グリーンスポット』等があり、国内においては決して知名度は高くない銘柄もありますがで、堅実で伝統的なウイスキーの製造をされています。
テイスティング
飲めるのであれば、ストレートが最も樽のマネジメントの凄さが分かるように思います。ロック、ハイボールも素敵です。
■ストレート
香りについては、みずみずしい青りんご、バーボン樽由来のほんのり香るはちみつ、そして若干のスパイシーさです。ポットスチル由来のオイリーさはそこまで感じないように思います。
テイストについて、全体としてはポットスチルらしい、独特なスパイシー寄りですが、青りんごの爽やかでフルーティーな甘さが、ポイントでしっかり感じる事ができます。後半は、トーストされたオーク感とクローブの様な余韻が続いていきます。
分かりやすいテイストと複雑なテイストが折り重なっており、奥深く上品な味わいです。樽のマネージメント技術の高さを感じます。
■少量の加水
ストレートと比較して、香りは青りんごのフルーティーさが増します。テイストはバーボン由来の甘みとスパイシーさが若干強調されるように思います。
■トワイスアップ
あまり、トワイスアップ向きでは無いような気がします。少し、樽の酸味?等の雑味を感じます。
■ロック
シェリーのスパイシーさやトーストした樽の渋みも出てくるので、ストレート比較してもより大人な飲み口になります。一方で、ポイント、ポイントで爽やかなフルーティーさ、樽由来の甘み、穀物の甘みを感じるので、飲みにくさはそれほどなく、本銘柄に適した飲み方の一つだと思います。
■ハイボール
爽やかなフルーティー香る、ハイボールです。とても飲みやすく良いです。少しエッジを効かせたいのであれば、少しピート系のウイスキーをハイボールに浮かせてあげると良いと思います。使用するウイスキーにもよりますが、少し白州系の特徴を持ったハイボールになるかもしれないです。