ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【アイリッシュ】ブルースポットを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】ブルースポットがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 アイリッシュの今までのイメージを覆すのは、シリーズ唯一のカスクストレングス『ブルースポット』です。マデイラ樽の濃密な甘みと、原酒の爆発的な力強さが融合した本銘柄は、アイリッシュウイスキーのポテンシャルを感じ、ワクワクさせてくれます。

 

ブルースポットについて

(スパイシーな香り)ブルー スポット [ ウイスキー 58度 アイルランド 700ml ]

 ブルースポットは、アイルランドの老舗ワイン商ミッチェル&サン社が展開する『スポット』シリーズの一つであり、現在はミドルトン蒸留所にて伝統的な製法で造られています。1960年代に一度ラインナップから姿を消しましたが、2020年に約半世紀の時を経て待望の復活を果たしました。

 本銘柄は、アイリッシュウイスキーの伝統である『シングルポットスチル』に分類されます。未発芽の大麦を原料に含み、銅製ポットスチルで3回蒸留することで生まれるオイリーな質感は、まさにアイリッシュの真骨頂です。ここにワイン商としての知見が活かされた巧みな樽使いが加わり、唯一無二の個性を放っています。

 『スポット』という名は、熟成期間を見分けるために樽に塗られたペンキの跡に由来します。シリーズにはグリーン、イエロー(12年)、レッド(15年)がありますが、このブルースポットは『7年熟成』の原酒をベースとしています。特筆すべきは、シリーズで唯一、加水を行わない『カスクストレングス(原酒そのままの度数)』でボトリングされている点です。

 熟成樽の構成は、バーボン樽、シェリー樽、そしてマデイラワイン樽の3種が使用されています。特にポルトガル領マデイラ島で作られる強化ワイン『マデイラ』の樽が、このウイスキーに力強いスパイスとトロピカルな表情を与えています。

 全体としては非常にパワフルでエネルギッシュ。カスクストレングスならではのパンチがありながら、スポットシリーズらしい洗練されたバランスを保っています。

 香りについては、鼻に抜けるシナモンやクローブのスパイシーさと共に、マデイラ樽由来の熟したマンゴーやパイナップルのような濃密なフルーツ香が押し寄せます。奥の方には、ポットスチルウイスキー特有の香ばしいシリアル感も健在です。

 味わいも香りのインパクトを裏切りません。高いアルコール度数を感じさせないほどフルーティーで、リンゴの蜜のような甘みと、ナッツのようなコクが重なり合います。フィニッシュにかけてはペッパーのような刺激が心地よく続き、非常に満足度の高い余韻を楽しめます。若さゆえの勢いと、贅沢な樽構成による複雑さが同居した、現代アイリッシュを象徴する一品と言えるでしょう。

 

ミドルトン蒸留所について

引用元:Jameson Distillery Midleton - All You Need to Know BEFORE You Go (tripadvisor.com)

 1966年にジェムソン社とその他2社が合併して造られたのが本蒸留所です。流石、アイリッシュのグローバルシェアが70%を超えているだけあり、非常に規模が大きいことでも有名です。

 割りと最近に建てられた蒸留所なのかと思われるかもしれませんが、本蒸留所の前身は1825年に創業を開始した旧ミドルトン蒸留所であり、現在は博物館として使用されています。(上記の写真)また、周辺も観光地化しており楽しめる街並みとなっています。

 本蒸留所はアイリッシュの伝統を大切にしており、アイリッシュ特有のオイリーさと酒質の軽さを追求した『シングルポットスチルウイスキー』を丁寧に製造しています。

 本蒸留所が造るウイスキーとしては、『ジェムソン』、『レッドブレスト』、『グリーンスポット』等があり、国内においては決して知名度は高くない銘柄もありますが、堅実で伝統的なウイスキーの製造をされています。

 

テイスティング

 飲み方に甲乙つけ難い位、どの飲み方も魅力を持っています。ボディがしっかりしているので、色々試してみると良いかなと思います。

 

■ストレート

 香りについては、完熟マンゴーやパイナップルを思わせる南国フルーツのアロマがまず立ち上がります。カスクストレングスならではの濃厚な香気は、マデイラ樽由来のオレンジピールや焼いたナッツの香ばしさと溶け合い、重厚です。

 テイストについては、原酒の力強いパンチとブラックペッパーのようなスパイスが弾けます。しかし、直後にはポットスチル特有の滑らかなオイル感が舌を包み込み、リンゴのコンポートやバタースコッチのような密度の高い甘みが層を成しています。

 最後は、フルーティーな余韻の中にオークの心地よいドライさが顔を出します。7年熟成という若さからは想像がつかない、力強さと複雑さが共存したパーフェクトな仕上がりです。素人から玄人まで唸らせる一杯です。

 

■少量の加水

 加水する事で、マデイラ樽由来の要素がより強くなります。具体的には、オレンジピールや焼いたナッツの香ばしさ、加えてスパイシーさが強調されるように感じます。

 

■トワイスアップ

 少量の加水と同様の傾向です。ボディがしっかりしているので、加水にも十分耐えられます。加水量は個人のお好みで。

 

■ロック

 氷による冷却とわずかな加水が進むことで、内に秘めたポテンシャルが鮮やかに開花します。ストレートでの熱狂的なパンチは程よく落ち着き、代わりに青リンゴのような清涼感と、ポットスチル特有のオイリーなとろみが際立ちます。

 時間の経過と共に、マデイラ樽由来の香ばしいナッツやバニラのコクがじんわりと溶け出します。

 

■ハイボール

 炭酸の泡と共にトロピカルなアロマが弾け、華やかな表情を見せます。特筆すべきは、割っても決して失われない濃厚なボディ感です。

 マデイラ樽のフルーティーな甘みとスパイスが炭酸の刺激と見事に調和し、軽やかなアイリッシュのイメージを覆す、飲み応え抜群の贅沢な一杯へと変化します。

 

 

 『スポット』シリーズをこれから楽しむ方には、まずは『グリーンスポット』をお勧めします。上品な青りんごの爽やかな味わいを持っており、癖が少なく、飲みやすいアイリッシュの特徴をしっかり持った銘柄です。多くの日本人の味覚にもマッチすると思います。