【1】ジェムソン ブラックバレルがどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
本日は、アイリッシュの中では圧倒的知名度が有る『ジェムソンシリーズ』の中でも、個性が際立つ銘柄、『ジェムソン ブラックバレル』について見て飲んでいきます。
個性あり、リッチさありで、アイリッシュ好きからバーボン好きまで幅広い層が楽しめる銘柄と確信しています。
ジェムソン ブラックバレルについて
良く知られている『ジェムソン スタンダード』の事実上、上位に位置づけられる銘柄になります。最大の特徴は、銘柄名から想像できる通り、熟成樽のチャーリングを2回行う事で、アイリッシュのスムーズさと、バーボン樽由来のボディの厚み、そして甘みを掛け合わせています。
一般的にスコッチやアイリッシュウイスキーの熟成にはバーボンを熟成した樽を、追加チャーリング(樽を再度焼く)をせず、2次使用するケースが多いのですが、本銘柄はバーボンを熟成した樽を使用する際に、再度チャーリングを行ってから熟成の一部に使用します。
この製法は『ダブルチャーリング』と呼ばれており、2層になるチャコールの層によって、バーボン樽の旨味を存分に引き出せるのだとか。
飲んで見ると分かるのですが、単にバーボン樽で熟成されたアイリッシュウイスキーよりも、樽の影響を受けており、圧倒的に奥行きがあり、豊かな香り立ちと、テイストになっています。
香りは、バーボン樽メインの為、バニラが中心になりますが、トロピカルフルーツの華やかさとナッツも感じます。グレーンウイスキーの割合が大きいと思われる、柔らかさも兼ね備えており、『ダブルブラック』という名前から受ける印象よりも、大分と穏やかです。
テイストについては、香りから来る印象とイコールですが、アイリッシュのスムーズさが加わり、スパイシーさも感じます。この中には、複数の種類のスパイシーさが含まれているように感じますが、一部シェリー樽も使用されているので、その要素もあるように思われます。ボディもしっかりしており、飲みごたえ十分で満足度の高い仕上がりとなっています。
『ジェムソン スタンダード』では、柑橘系の要素が強いですが、本銘柄はトロピカル要素が強いので、一概にジェムソンスタンダード好きが、好きになる銘柄とは言えないように思います。一方で、多くの方に理解され、支持される、明瞭な香り、テイスト、ボディを持った銘柄です。アイリッシュ好きだけでなく、バーボン好きにも支持されることと思います。
ミドルトン蒸留所について
引用元:Jameson Distillery Midleton - All You Need to Know BEFORE You Go (tripadvisor.com)
1966年にジェムソン社とその他2社が合併して造られたのが本蒸留所です。流石、アイリッシュのグローバルシェアが70%を超えているだけあり、非常に規模が大きいことでも有名です。
割りと最近に建てられた蒸留所なのかと思われるかもしれませんが、本蒸留所の前身は1825年に創業を開始した旧ミドルトン蒸留所であり、現在は博物館として使用されています。(上記の写真)また、周辺も観光地化しており楽しめる街並みとなっています。
本蒸留所はアイリッシュの伝統をどの蒸留所よりも大切にしており、アイリッシュ特有のオイリーさと酒質の軽さを追求した『シングルポットスチルウイスキー』を丁寧に製造しています。
本蒸留所が造るウイスキーとしては、今回の主題になっている『ジェムソン』はもちろんの事、『レッドブレスト』や『グリーンスポット』等があり、国内においては決して知名度は高くないですが、堅実で伝統的なウイスキーの製造をされています。以下、参考にリンクを添付します。
テイスティング
『ブラックバレル』によってボディの厚みがあり、どのような飲み方でも楽しめます。後は好みの問題ですが、甘み、そして飲みごたえのバランスが良いロックが個人的にはお勧めです。
■ストレート
グレーンウイスキーとアイリッシュの柔らかい要素を保持しながら、バーボン樽の効きがしっかりあるので、香りテイスト共に明瞭です。
香りはバーボン樽由来のボディの厚みを感じつつ、バニラの甘み、ナッツ、トロピカル系のフルーツ等となっています。微かに、スパイシーさも感じます。(シェリー樽由来?それともポットスチル特有のスパイシーさ?)グレーンの柔らかさがしつこくない香りに仕上げています。モルト感は薄いです。
テイストについては、香り通りであり、バーボン系の濃厚さと、余韻が心地よいです。ただ、甘さ一辺倒ではなく、最後にはスパイシーさが良い感じで引き締めてくるので、すっきりしたイメージを持って飲み終える事ができます。この点はジェムソンらしさを感じます。隠れた、シェリー樽の要素を見つけて楽しめるという点でも、良い飲み方です。
■少量の加水
ストレートと比較して、甘みがじんわり口に広がります。少しハチミツの様な甘さになります。余韻のキレというものはストレートと比較して無くなりますが、スパイシーさはより分かりやすくなり、ハチミツとスパイシーが合わさったようなフィニッシュとなります。
■トワイスアップ
飲みやすいです。少量の加水と同じようなテイストですが、スパイシーさよりも、ハチミツの甘みに傾斜するように感じます。ボディの厚みもあるので楽しめる飲み方です。
■ロック
全体的にストレートの少しトーンを落とした感じで、落ち着いてゆったり飲めます。
甘みもより心地よくなる感じて、個人的には一番好きな飲み方です。ボディの厚みもあり、飲みごたえという観点でも十分満足できます。
■ハイボール
アイリッシュはボディの厚みがないので、ハイボールにした際に少し物足りなさを感じる傾向にありますが、本銘柄は大丈夫です。甘みを感じつつ爽やかさがあり、とても美味しいです。
以上、本日はジェムソンシリーズの中でも、バーボン樽の旨味要素を存分に引き出した銘柄、『ジェムソン ブラックバレル』を飲んで見ました。価格もジェムソンらしく、手が届きやすく、どのような飲み方でも楽しめるので、常飲酒として購入して損はない銘柄です。