ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【スコッチ】トマーティン12年を飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】トマーティン12年がどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 本日は、日本の企業が初めてオーナーとなった蒸留所で造られるウイスキー、『トマーティン12年』について見て飲んでいきます。バーボンの要素も、シェリーの要素も楽しめる銘柄です。

 

トマーティン12年について

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 本銘柄は、京都に本社を置く、宝ホールディングス(宝酒造)がオーナーとなっている蒸留所で造られる、シングルモルトウイスキーになります。分類としてはハイランドの中でも北ハイランドに位置し、フルーティ、且つスイートな傾向にある特徴を保有しています。

 ポットスチルは華やかな銘柄の多い、ハイランドやスペイサイド地方でよく使用される、所謂『バジル型』であり、ライトな酒質になるような蒸留を行います。

 ハイランドウイスキーの中で、本銘柄の差別化ポイントは、熟成樽にあります。メインの熟成はバーボン樽になりますが、一部リフィルされた樽(ホグスヘッジ)、そしてフィニッシュとしてシェリー樽で8か月程熟成させています。その為、シェリーの要素もしっかり感じれます。

 ボトル開けたての場合、硬く、シェリーの少しネガティブな要素も感じる傾向にあるので、時間を掛けて、育てながら楽しむのが本銘柄のお勧めの楽しみ方です。育ってくると、バーボンの甘さも、シェリーの甘さも楽しめ、且つ複雑さもあり、魅力度がぐんと上がります。少しピートが効いているのも締まりがあってバランスが取れています。

 

トマーティン蒸留所について

引用元:Euan's Guide | Disabled Access Day at Tomatin Distillery Visitor Centre (euansguide.com) 

 スペイサイド寄りのハイランドに位置する本蒸留所は、1897年に操業を開始します。日本人目線での、本蒸留所の最大の特徴は、日本企業が初めて海外蒸留所を買収した事例であり、現在は酒造メーカーの宝ホールディングス、総合商社の丸紅、専門商社の国分の3社が共同でオーナーとなっている点です。その為、宝酒造の特色を活かし、焼酎樽を使用して熟成させた銘柄のリリース等もされています。また、商社の販売網を活かし、知名度と比較してスーパー等の売り場でも見かける頻度が多い傾向にあります。

 操業当初は小規模からスタートしますが、ウイスキーブーム、取り分けハイランド、スペイサイドを中心とするウイスキー需要の高まりから1974~75年辺りには、スコットランドで最も規模の大きな蒸留所まで成長していきます。

 しかし、ウイスキー全体の不況と、規模が大きくコストが重くのしかかった為、1986年に宝酒造と商社の合弁会社が買収を行います。

 現在では、当初の半分規模でウイスキー造りを行っており、またその生産能力をフル稼働できていないのが現状です。しかし、近年シングルモルトの製造と販売に力を入れて販路拡大を行っております。またスペイサイド寄りのハイランド蒸留所としては珍しい、ピートが効いたシングルモルトを製造したりと、積極的にチャレンジを行っている蒸留所の一つです。型にはまらない銘柄が今後リリースされて来るかもしれませんね。


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テイスティング

  ボトルを開封して1か月程度経過すると、本銘柄の良さが表れてきます。開封したてでレビューされ、『シェリー樽のネガティブの要素が強い』と、良くない評価がされることもありますが、そもそもオロロソ系のシェリー酒は酸化熟成による味わいの変化を楽しむ醍醐味がありますし、ウイスキーであっても通じる所はあるように思います。

 

■ストレート

 香りは、軽いピートと共に、モルトの甘さとシェリーのレーズン系のフルーツ感がメインです。軽くバーボン樽の甘みもあります。開封したてはバーボン樽の要素が少なかったのですが、開封して時間が経つとバーボンの良さ、シェリーも角が取れて華やかになります。厚めのボディを感じます。

 テイストについては、香り以上にスパイスさがありますが、徐々に麦の甘さが伸びてきます。シェリーの甘みもありつつ、隠れるような形で、乳酸のような酸味や牧草感もあり、分かりやすいテイストというよりも複雑な厚みのある味わいです。一見飲みにくそうに感じますが、複数回飲みこんでいくと、良さが分かってきたりします。ネガティブな要素としては、時間をおいてもアルコールの刺激が一定数ある事でしょうか。

 

■少量の加水

 少量の加水は、全体的なトーンに丸みが出てくるので、飲みやすくなります。ストレートで感じた複雑さは削ぎ落されてくるで、一長一短ではあります。

 

■トワイスアップ

 想像以上には、ボディも耐えられるので、トワイスアップ好きには良いと思います。麦の甘み、シェリーの甘みと渋み、麦芽の甘み、ゆったり味わえます。

 

■ロック

 ストレートのネガティブ要素のアルコール刺激もおさえられ、ピートと麦の甘みとスパイシーな、全体として落ち着いた味わいをゆったり楽しめそうです。

 

■ハイボール

 軽いピートも効いて、シェリーの要素もバーボンの要素もある、良い仕上がりのハイボールだと思います。

 

 以上、本日は日本の酒造メーカーがオーナーとなっている蒸留所が造る、『トマーティン12年』を飲んで見ました。味わうだけでなく、育てる楽しみもある、そんな銘柄です。