ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【スコッチ】モンキーショルダーを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】モンキーショルダーがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 本日は、なんとも興味深い銘柄名の『モンキーショルダー』について見て飲んでいきます。異なる3つの蒸留所のモルト原酒を組み合わせて造られており、華やかで多くの方に飲みやすいようにチューニングされています。

 

モンキーショルダーについて

モンキーショルダー アーティストデザインボックス

 本銘柄は、ブレンデッドモルトウイスキーに分類され、異なる3つの蒸留所のモルト原酒を組み合わせることで、造られています。手掛けるメーカーは、初めてシングルモルトをリリースさせた銘柄を扱う、ウィリアム・グラント&サンズ社になり、『グレンフィディック』は世界的に人気が高く有名な銘柄です。

 ボトルに猿が描かれており、銘柄名も『モンキーショルダー』と猿推しです。背景を知らないと、猿好きのブレンダーが造ったからなのかな?等々、想像は膨らむばかりですが、実際はウイスキーの伝統的な製造工程であるフロアモルティングに関連しています。

 モルティングは、原料の大麦を発芽させることであり、アルコール発酵の下準備になります。その中の工程の一つとして、大麦に空気を定期的に送り込むことで発芽を促す作業があります。現在では機械を使って実施するケースが殆どですが、伝統的にはフロアに大麦を敷き詰めて、定期的にシャベルを用いて攪拌します。この作業が大変であり、肩コリをユーモアあふれる表現『モンキーショルダー(猿が肩に乗っているみたいだ)』と呼んでいました。


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 本銘柄の構成内容は、グレンフィディック蒸留所、バルヴェニー蒸留所、キニンヴィ蒸留所です。構成比率は公開はされていませんが、グレンフィディック蒸留所の比率が高く、洋ナシや青りんご等のフルーティーさが中心かと思います。

 しかし、それだけでなく、フロアモルティング(モンキーショルダー)の主張はしっかり表現されています。バルヴェニーはフロアモルティングの伝統製法で造っており、バルヴェニーらしいコクとハチミツの甘さ、そしてチョコレートの風味も受け継いでいると思います。内容も世界観も素晴らしいです。

 世界大会での受賞歴もあり、世界で認められ、愛されるウイスキーとなっています。そして、プロモーションも非常に上手く、カクテルで使用するイメージ戦略であったり、若手のファンを取り込むプロモーションを積極的に展開しています。


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グレンフィディック蒸留所について

引用元:Glenfiddich Distillery - The Distilleries of Scotland - scotchwhisky.net

 1887年にウィリアム・グラントによって創業を開始しました。ダフタウンの貧しい仕立て屋の息子として生まれたウィリアムは、蒸留所建設に向けてコツコツと資金を蓄え、ダフタウンの外れに念願の土地を購入します。しかし、蒸留所を建設する資金はなく、家族総出で蒸留所建設を開始します。なんと建設にかかった日数は371日だったとか。

 当然、ウイスキー造りで必要となるポットスチルやマッシュタンを新調する資金は無い状況でした。しかし、自身で蒸留所を建設しようとする熱意に惚れた、カードゥ蒸留所のオーナーが古くなったスチルを2基安く譲りました。まさしく、グレンフィディック蒸留所が誕生した瞬間です。そして、翌年のクリスマスの日に初めて蒸留されます。

 以下の写真はグレンフィディック蒸留所のポットスチルですが、様々な種類のものが設置されていることが分かります。これは、色々な場所から中古品を買い集めたことによるものです。

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引用元:2022年 グレンフィディック蒸留所 - 行く前に!見どころをチェック - トリップアドバイザー (tripadvisor.jp)

 

テイスティング

 どのような飲み方でも美味しいので、好み次第と思います。カクテルで使用されることもあり、加水やハイボールでも映えます。

■ストレート

 香りはグレンフィディック由来の洋ナシ、青りんご系のフルーティーさ、その他バニラ、ハチミツ、ビターチョコ、そして柔らかいピート香等があります。

 テイストは、香りから連想するものとほぼ一致します。洋ナシ、青りんご、バニラ、ハチミツ、そして軽めのピート。最後はビターな余韻です。熟成感はあまりないですが、全体的にレベルは高いです。

 

■少量の加水

 加水することで、青りんごのフルーティさがより立ってくる様に思います。テイストについてはストレートと大きな変化は無いですが、ハチミツの甘みとビターチョコのビターさが少し目立つように思われます。

 

■トワイスアップ

 加水にも十分耐えられます。ピートの土っぽさが適度に主張しており、ストレートとは少し違った一面を見せてくれます。

 

■ロック

 ストレートと比較して、ハチミツとバーボン樽由来のバニラ要素が優勢になると思います。最後はビターであり、飲みやすく、飲み飽きないです。

 

■ハイボール

 モンキーハイ!フルーティさ、優しい甘み、適度なピート感。バランスはとてもいいです。ハイボール好きには一度は飲んでもらいたいものです。

 

 以上、本日は異なる3つのモルト原酒を合わせて造られた銘柄『モンキーショルダー』について見てきました。多くの方に支持される内容になっており、飲み方も選ばない自由度の高い銘柄です。

 

 また、最近国内でも流通するようになってきた、ピートが効いたバージョンもこれまた良い銘柄です。甘みとスモーキーさの緩急がたまりません。