【1】キルベガンがどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
本日は、現存する最古の蒸留所で造られた原酒が使用された銘柄『キルベガン』について、見て飲んでいきます。内容はシンプルであり、着飾らない姿に好感が持てる銘柄です。
キルベガンについて
本銘柄はアイリッシュブレンデッドウイスキーに分類さるスコッチの製法を踏襲した造りとなっています。手掛けるのはカネマラ等で有名なクーリー蒸留所であり、発売当初はクーリー蒸留所の原酒が使用されていましたが、徐々にキルベガン蒸留所の原酒に移行していると言われています。
キルベガン蒸留所は、元はブルスナ蒸留所と呼ばれており、現存する世界最古の蒸留所になります。そして本銘柄に使用される原酒は当時の設備をそのまま用いて造られます。(途中で移設してきた設備もありますが)つまり、当時のレシピとは違いますが、現存する世界最古の蒸留所で造られる銘柄ということになります。
製造工程はアイリッシュではなく、スコッチ形式を採用しております。つまり、原材料に未発芽麦芽は使用せず、2回蒸留にて造られます。そして、バーボン樽で4年程熟成させた原酒を使用してブレンドしています。
製造過程で突出した特徴を持たせているわけでは無い為、ボトルの中身は穏やかで、シンプルな内容になっています。ある意味、気を抜いて楽しむことができます。
モルトのブレンド比率は15%~20%程度との事で、穀物感はそれほどなく、ハチミツ系の甘さに、やさしいキウイフルーツの様なニュアンスがあります。フィニッシュはオークの素材感を感じ、ビター寄りです。シンプルですが、繊細な一面も備えているように感じます。
個人的には、ジェムソンスタンダードと比較すると面白いと思います。ジェムソンよりもっとシンプルで、着飾らない姿に親しみを感じます。
キルベガン蒸留所について
引用元:The Irish Whiskey Trail (whiskeyglobal.com)
諸説ありますが、現存する世界最古の蒸留所とされており、操業は1757年付近となります。当初は、ブルスナ蒸留所と呼ばれており、その後オーナーの変更により1843年にはオーナーの名前が由来となるロックス蒸留所に変更されます。このロックス蒸留所の代表銘柄が『キルベガン』であり、素朴ながら堅実なウイスキーであったと言われています。
しかし、禁酒法時代に他の蒸留所同様、経営不振に陥り1957年に蒸留所は閉鎖されてしまいます。その後、長い間閉鎖されていましたが、1983年に自治体が博物館としてリニューアルオープンさせ、小さな観光名所として生まれ変わります。更に、本博物館をカネマラ等で有名なクーリー蒸留所を立ち上げたジャック・ティーリング氏が買収し、キルベガンのライセンスを取得する事でキルベガンの銘柄を再度蘇らせました。
ポットスチルにおいてはロックス蒸留所時代に旧タラモア蒸留所から移設させたものを使用しています。博物館の名残なのか、自由に訪問して見学できます。小さいながら魅力が詰まった蒸留所です。
テイスティング
ハイボール、ロック辺りが私は好みです。シンプルですが、加水するとビター要素が強くなるので、好みが分かれてくると思います。
■ストレート
モルト含有率は決して高くは無い為、良くも悪くも穀物感は無いです。香りについては軽めのハチミツ、キウイフルーツ、若干のビターでしょうか。
テイストについてもシンプルであり、柔らかめのビターとオークを感じつつ、ハチミツ系の甘みが優しめに広がります。ただ、余韻は長くは続かないように感じます。このシンプルさをどのように感じるかを試されているように思います。
■少量の加水
加水すると、分かりやすくビターに傾いていくように思います。少しグレーン要素?(粗さ)が目立ちます。
■トワイスアップ
少し物足りなさを感じます。うっすらハチミツが香ります。
■ロック
ストレートの内容を踏襲していますが、輪郭がはっきりしてきます。ある程度の飲みごたえを担保しつつ、癖が無くて飲みやすいです。素朴な味わいも気に入りました。
■ハイボール
美味しいよ!癖が無く、甘みと若干のビターさのバランスが良いです。後は、本銘柄を選択するか、ジェムソンを選択するかは好みな気がします。