ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【アイリッシュ】ティーリング シングルモルトを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】ティーリング シングルモルトがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 本日は、アイリッシュの革命児『ティーリング蒸留所』が造る銘柄『ティーリング シングルモルト』を見て、飲んでいきます。元々ボトラーとしてスタートしている為、本銘柄はその英知が詰まった内容となっています。フルーティーで飲みやすいウイスキーをお探しの方は必見です。

 

ティーリング シングルモルトについて

ティーリング ウイスキー シングルモルト 46度 700ml アイリッシュウイスキー [並行輸入品]

 

 アイリッシュシングルモルトに分類される銘柄であり、最大の特徴は熟成の一部(フィニッシュ)にワイン樽を中心に5種類も樽を使用している点にあります。

 アイリッシュは全般的に、軽めでフルーティーな銘柄が多いですが、その中でも5種類の樽から生み出される、白ブドウや、イチジク等の特有のフルーティさあり、分かりやすく、特に飲みやすい仕上がりとなっています。

 使用している樽は、シェリー樽(ワイン)、ポート樽(ワイン)、マデイラ樽(ワイン)、カベルネ・ソーヴィニヨン樽(ワイン)、ホワイトバーガンディ樽(ワイン)の5種類です。その為、香り・テイスト共に多彩でフルーティーですが、ワインの渋み等の要素は少ないです。

 もう少し、香りとテイストについてご紹介するすると、香りはドライイチジク、白ブドウ、若干のオレンジピールの中に、シナモンの様なスパイスを感じます。テイストに関しては、香り通りのコンテンツとなっており、ドライイチジク、白ブドウ、ドライフルーツ等、後半にワインのタンニンの渋みを軽めに感じます。原酒自体の熟成年数は表記が無い為、若いと思われますが、決してそれを感じさせない、余韻と舌触りです。

 伝統的なアイリッシュが大好き!(レッドブレスト等のシングルポットスチル)な方が飲むと、アイリッシュぽく無いという評価になるかもしれません。一方で、アイリッシュとしての基本的な要素を理解でき、フルーティーで飲みやすいウイスキーを探している方にとって、本銘柄は最適な選択の一つかもしれません。

 アイリッシュは、多様性が最もあるカテゴリーとなりつつありますので、是非この機会にアイリッシュに触れてみてはいかがでしょうか。

 

ティーリング蒸留所について

引用元:Teeling Distillery - Irishmalts.com
 比較的新しい蒸留所であり、操業を開始したのは2015年になります。創業者は、『カネマラ』等でお馴染みのクーリー蒸留所で活躍していたジャック・ティーリング氏になります。(クーリー蒸留所創業者の息子)

 もう少し本蒸留所の軌跡を見ていくと、ジャック・ティーリング氏の考えが見えてきそうです。クーリー蒸留所はジャック・ティーリングの父親である、ジョン・ティーリング氏が蒸留所を買収して、改名する形でクーリー蒸留所の操業を開始します。

 しかし、大手企業がオーナーについているケースが多い蒸留所において、独立系の本蒸留所は資金面で苦労するようになり、20211年にビーム・グローバル社に買収されます。

 この出来事の後に、兄弟のジョン氏とステファン氏が独立系のボトラー(ティーリング・ウイスキーカンパニー社)を創り、後にティーリング蒸留所に繋がります。

 また、クーリー蒸留所はスコッチに負けず、アイリッシュの全盛期への復活を目指して創られました。この基本的考えはティーリング蒸留所でも同じですが、異なる点は、クーリー蒸留所ではスコッチと同じ形式の2回蒸留を中心にウイスキー造りを行っていますが、ティーリング蒸留所はアイリッシュの伝統芸といえる3回蒸留をメインに据えてウイスキー造りを行っています。

 蒸留所の規模自体は小さいですが、小さいからこそ、大手では真似できないスモールバッチで個性あふれる銘柄を多数生み出しており、世界中から注目されています。ちなみに、ボトラーとしては、ブッシュミルズ蒸留所から主に原酒を購入しておりました。ティーリングの銘柄によっては今もブッシュミルズの原酒が一部使われているそうです。ブッシュミルズらしい、麦の深さも感じ取れます。

 

テイスティング

 基本的には、ストレートかトワイスアップが飲みやすいように思います。ロックではボディが厚くなり飲みごたえは増しますが、タンニンの渋み等の要素が強くなるので、少し大人な味わいになりそうです。

 

■ストレート

 香りはドライイチジク、白ブドウ、軽めのレーズンとオレンジピール、シナモン等になります。アイリッシュ特有の3回蒸留されたボディの為、軽快で透き通った香りで仕上がっています。ノンエイジであり、通常のアイリッシュよりもアルコール度数が高い46%の為、アルコールの刺激もあるのかと思っていましたが、それを感じさせない穏やかさです。

 テイストについては、原則香りから得られる内容と同じであり、ドライイチジク、白ブドウ、レーズン、そして後半にタンニン由来の軽いスパイシーさで余韻も心地いいです。ストレートであってもさらっと飲めてしまいます。

 

■少量の加水

 ストレートと比較し、少量の加水で輪郭がはっきりしますが、好みは分かれそうです。理由は後半のタンニンのスパイシーさが加水により強調される為です。

 

■トワイスアップ

 少量の加水で強調されたスパイシーさが再度穏やかになり、飲みやすさが上がります。より穏やかに飲むのであれば、ストレートよりもお勧めです。アルコール度数の高さもあり、ボディが崩れる心配もないであろうテイストです。

 

■ロック

 少し熟成の若さを感じる節はありますが、若干ボディがしっかりするので飲みごたえという観点では良いです。若干タンニンも強くなるので、大人テイストに傾斜します。

 

■ハイボール

 ハイボールは少し物足りなさを感じるかもしれません。全体的にテイストが薄く飲みごたえがないです。少し濃いめに作っると克服はでき、香り含め楽しめます。価格を考慮するとアイリッシュハイボールはジェムソン等で十分そうです。

 

 以上、本日はアイリッシュの中でもとりわけ、フルーティで飲みやすい本格銘柄『ティーリング シングルモルト』を飲んでみました。アイリッシュの本格的なブームがこれから起こるであろうことを予感させてくれる銘柄です。