ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【スコッチ】タリスカー ストームを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】タリスカー ストームがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 本日は、島のウイスキーであり、自然の荒々しい要素を多く取り込んだ銘柄『タリスカー ストーム』について飲んでいきます。胡椒等の独特なスパイシーさを感じれるのが本銘柄最大の特徴です。

 

タリスカー ストームについて

タリスカー ストーム 箱入り [ ウイスキー イギリス 700ml ]

 アイランズの中でもスカイ島という、荒い天候になりやすい地形に位置する蒸留所で造られる『タリスカーシリーズ』。本銘柄の名称となっている『ストーム(嵐)』については、本島の気候を表しており、それらの荒々しさをボトルに詰め込んだ中身となっています。

 本銘柄は『ピリピリするようなテイスト』、『黒胡椒を感じるテイスト』等と表現されることが多いですが、その通り、黒胡椒や唐辛子の辛味に近いテイストを感じる方が多いのが特徴です。そして全体として辛い仕上がりとなっています。

 これだけ聞くと、『美味しいウイスキーなのか?!』と思われるかもしれませんが、それ以外のテイストも多彩に含んでおり、それらの支えがあってこそ、胡椒のようなスパイシーなテイストが活きてきます。

 テイストについてもう少し詳細にご説明すると、メインの要素は、胡椒や唐辛子を連想されるスパイシーさ、クリアで潮気を含んだスモーキー、軽めでみずみずしい麦の甘さです。

 前半は、胡椒と唐辛子の様なスパイシーさ、ホットさが支配的ですが、徐々に潮気を含んだスモーキーさ、麦の甘みへと変化していきます。この甘みは優しく、そしてどことなくフルーティーさも感じます。

 前半にスパイシーさや辛味を感じたからこそ、この甘みの良い要素を堪能できますし、この甘みが口に残っているからこそ、次口に含んだ際に、辛味のコンテンツの良さをより理解できる、無限ループに突入していきます。時間をおいて、空気を含めば、より甘みがましていく傾向にあるように思います。(バニラやメープル感が増すイメージ)

タリスカー蒸留所について

引用元:Talisker distillery and warehouse.... | Reizen, Schotland, Vakantie (pinterest.jp)
 鳥の羽を広げた様な地形のスカイ島に位置する蒸留所であり、操業を開始したのは1830年となります。スカイ島は別名、『ミストアイランド』と呼ばれ、霧や悪天候が多い地域としても有名です。その為、かつては他の島に行く船はしばしば欠航し、多くの訪問者を困らせておりました。

 

 本蒸留所の地域的カテゴリーとしては、所謂『アイランズ』と呼ばれており、アイラ島を除くスコットランドの北岸~西岸に存在する島々で造られるウイスキーを一般的には意味します。アイランズとしては、ジュラやアラン、ハイランドパークやスキャパ等が属しています。

 それらの中でも、シングルモルト造りに特に注力しており、親会社のディアジオ社の巨額投資、販売力も活用しシングルモルトの販売数量は確実に伸びてきています。

 ウイスキー造りの特徴としては、ピート麦芽を70~80%程度、ノンピート麦芽を20~30%を合わせて使用し、最終的に20~25ppmのウイスキーとなるように調整されます。

 また、初留のポットスチルのラインアーム部分が2度折り曲げた形状となっており、他の蒸留所のポットスチルでは見られないようなものとなっています。これらの要因もあり、アイラウイスキーとは異なり、力強い味わいでありながら、フルーティさも感じる味わいとなっています。

引用元:Talisker Brennerei - Whisky.de 

 

テイスティング

 加水にも強く、どのような飲み方でも楽しませてくれます。ストレートで飲んでよし、トワイスアップでもよし、ハイボールもよし。公式にもあるように、ハイボールに黒胡椒を浮かべて飲むもよしです。

 

■ストレート

 香りは重くもなく、軽くもない心地いい重量があります。メインの要素は、胡椒や唐辛子を連想されるスパイシーさ、クリアで潮気を含んだスモーキー、軽めでみずみずしい麦の甘さです。

 テイストについては、口に含んですぐに胡椒のスパイシーさと、軽めの唐辛子のホットさがやってきます。潮気、ビターオレンジ等の要素も後半にきます。ただ、大人のテイスト一辺倒ではなく、麦の優しい甘みが全体のバランスを非常に良いものにしています。余韻も長く楽しめます。

 

■少量の加水

 ストレートと比較して、香りはクリーンに傾斜するように感じます。また、オレンジの香りが強くなり、若干のヨード香も立つように思います。

 テイストに関しても、香り同様ビターオレンジ要素が強くなり、甘みもクリアになるように感じます。スモーキーさはストレートと比較して癖が出てきますので、アイラウイスキー好きにとっては特に楽しめる飲み方かもしれません。(潮気と若干の海藻を含んだピート)

 

■トワイスアップ

 麦の甘さがストレートと比較してまろやかになります。優しい島の潮気も感じ、少しピリッと黒胡椒。加水には強い銘柄です。

 

■ロック

 ストレートと基本的な要素は同じですが、冷やすことで胡椒のスパイシーさがより明確になります。原料や樽に胡椒を使用せず、どうやってここまで胡椒感を出せるのかが気になります。みずみずしい麦の甘みも健在で、作り手の届けたいコンセプトが明確に分かる飲み方です。

 

■ハイボール

 辛味、ほのかな甘みがしっかり感じれるハイボールとなります。シリーズの中でもコクがある銘柄ですので、飲みごたえも十分です。ただ、ハイボールにすると少し持ち味の胡椒感が弱くなるので、黒胡椒をハイボールの上にひいて入れ、胡椒感を補い、更に凌駕していきます。とても美味しい飲み方で、パンチも効いています。

 

 以上、本日は潮気と胡椒のスパイシーさを感じることのできる銘柄『タリスカー ストーム』について飲んで見ました。スパイシーさ、荒々しさ一辺倒ではなく麦の甘みや潮気等の要素も含んでおり、テイストの緩急が魅力的な銘柄です。