ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【アメリカン】ワイルドターキー12年を飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】ワイルドターキー12年がどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 本日は、バーボンの伝統的製法を重んじて製造された『ワイルドターキー12年』をご紹介します。これぞ、バーボンの元祖といった銘柄であり、『ワイルドターキー8年』よりも深みがあり、バニラとカラメルの凝縮度合いが高くなっています。

 

ワイルドターキー12年について

ワイルドターキー 12年 700ml [ギフトBOX入り] [バーボン ウイスキー アメリカ] WILD TURKEY AGED 12 YEARS

 ワイルドターキーシリーズは他のバーボンと比較し、原料のコーン比率を下げ、その分ドライでスパイシーなテイストとなる、ライ麦の比率を上げる、伝統的なレシピで製造されます。

 ワイルドターキーには複数のラインナップがありますが、メインの銘柄は『ワイルドターキー8年』と『ワイルドターキー12年』となります。特に、12年は過去から人気の高い銘柄でしたが、原酒の不足等により販売を長らく終了していました。しかし、2022年9月より、ファンからの熱い要望に応える形で、再リリースされました。

 ワイルドターキー8年、12年は前述の通り、ライ麦の使用比率が高い為、コーンの甘さは控えめで、スパイシーさが楽しめるバーボンになります。この特徴に加え、蒸留工程において、香りと味わいを良くする為、蒸留時のアルコール度数は低めの約60%~65%に設定しています。(一般的には70%以上が多い) こうする事で、熟成後のボトリング時の加水量を最小限に抑える事ができ、ウイスキーの濃厚さが増すと言われています。その為、甘さは控えめなのですがバーボン樽由来のキャラメルやバニラ感の濃厚な味わいを感じる事ができます。

 更に、バーボンの中でも、良く内側を焦がした樽(アリゲーターチャー)を用いて熟成させる為、バーボン樽の旨味が凝縮された味わいとなっています。

 8年と12年は上記の通り、主な製造工程は同じですが、大きく違う点は、表記でも分かる通り、原酒の熟成年数になります。バーボンはスコッチ等と比較して、樽をしっかり焦がした新樽を使用する為、10年以上熟成させると苦味や渋みが出やすい傾向にあります。そこで、原酒の状態を見極め、10年以上の熟成でより味わいを深められる樽が選別され、選りすぐりの原酒が、本銘柄『ワイルドターキー12年』となります。

 ワイルドターキーらしい、力強くスパイシーで飲み飽きない要素と、深くしなやかなバニラとカラメルの旨味を堪能できる、本銘柄は至高の1本です。

ワイルドターキー蒸留所について

引用元:Great Drams Whisky - Age Verification - GreatDrams

 本蒸留所はケンタッキー州のローレンスバーグ地区に位置する蒸留所になります。蒸留所の創業は1869年であり、当初はワイルドターキー蒸留所という名称ではなく、リピィ蒸留所という名でスタートしました。その後、オーナーは点々と変わっていきますが、1893年のシカゴ開催のワールドフェアで『ケンタッキーを代表するウイスキー』に選出され、大きく躍進していきます。

 しかし、その後ウイスキーにとっては暗黒時代の、禁酒法に翻弄されることとなり、飲料としてのウイスキーの製造は中止せざるを得ない状況に追い込まれます。しかし、禁酒法時代が終焉を迎えると、バーボンとしての伝統を守り続ける事に特に重点を置いて再度製造を開始し、現在の地位を築き上げました。

 本蒸留所が製造する『ワイルドターキー』シリーズは、伝統的なバーボンを知るには最適な銘柄であり、本蒸留所の責任者ジミー氏は『私がこのボトルに詰めたものは、バーボンの伝統だ』とおっしゃってられます。是非、伝統的なバーボンを楽しんでみて下さい。

 

テイスティング

 ロックで本銘柄のコクとスパイシーさと控えめですが、甘みを楽しんで頂きたいです。クラシックバーボンに飲みなれている方は、101プルーフの力強さもダイレクトに感じれる、ストレートの方がお好きかもしれません。

 

■ストレート

 香りはしっかりと、バーボン樽の特徴を感じます。バニラ、ナッツ、カラメル、そして少しやんわりと桃、プラム等。8年はオレンジの様な香りですが、12年は桃の様な少し甘みのある果実になっているように感じます。アルコール度数も50.5%ですので、力強さを感じます。ただ、嫌なアルコール感は無いです。

 テイストも香りに近く、バニラ、カラメル、やさしい桃のテイストが中心です。8年と比較してライの特徴は抑えられており、その分甘みが強い仕上がりとなっています。後半は、オイリーさに合わせてビターさがあります。そして最後はライでピリッと締まります。

 

■少量の加水

 ストレートの方が、私は好みです。テイストに大きな変化はないですが(樽の要素が少し強調されます)、アルコールの刺激が目立つようになりました。

 

■トワイスアップ

 ストレートの桃のような果実感がベリーのような酸味を含んだ果実感へと変化していきます。また、辛味が強くなるので、良く言えばクラシカルバーボンの要素が強めになる、悪く言えば12年の熟成がもったいなく感じるといった所です。

 

■ロック

 ストレートと比較して、香りの楽しみは減衰しますが、舌触りがまったりし、コク、甘さ、ビターさ、ライのキレのバランスが良いです。ベリー寄りの果実感もあり、まとまりが良いです。美味しい。

 

■ハイボール

 勿体ない気持ちはありますが、本銘柄の特徴はしっかり残っており、且つボディもしっかりした味わいです。甘みの塩梅も良いです。

 

 以上、本日は2022年に復活した『ワイルドターキー12年』について飲んでみました。バランスが良い優秀な銘柄です。食事と合わせる場合は、8年の方が良いですが、食後に味わう12年は格別です。クラシカルバーボンを知ると、ウイスキーを楽しめる幅も各段に広がります。

 

 スパイシーな伝統的なバーボンが好きか分からず、12年の値段に躊躇される方は、まずは8年をお勧めします。値段も手頃で、本格的なクラシカルな味わいとなっています。