ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【スコッチ】キルホーマン サナイグを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】キルホーマン サナイグがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 アイラ島で最も新しい蒸留所で製造される『キルホーマン サナイグ』。蒸留所自体の規模は、他と比較するとまだ小さいですが、アイラ島での製造に強くこだわり、熱狂的なファンを獲得しています。

 本日は、本蒸留所が造る銘柄で、オロロソシェリーの要素を強く反映させた『キルホーマン サナイグ』について、飲んでいきます。アイラウイスキー好きは、飲めば唸ると思います。

 

キルホーマン サナイグについて

KILCHOMAN (キルホーマン) サナイグ [ ウイスキー イギリス 700ml ]

 『スコッチは10年以上熟成させないと未熟』と言われる中、5年未満の原酒を用いて世界で最も評価される銘柄の一つにまで上り詰めた、『キルホーマンシリーズ』。

 背景には、操業を開始して日が浅い為、熟成年数を確保した原酒を製造できなかったことがあるのですが、自社でのこだわった原料製造、ミドルカット率を上げること等により弱点を補うどころか、強みに変えています。穀物の甘み、力強いピートの中に感じる、シェリーの甘く、フルーティでフレッシュさが詰まった銘柄となっています。

 主力のラインアップとしては、バーボン樽をメインに使用した『キルホーマン マキヤーベイ』とシェリー樽をメインで使用した『キルホーマン サナイグ』となります。

 マキヤーベイは発売当初のレシピでは、バーボン樽3年熟成後、オロロソシェリー樽で6か月熟成させるのに対し、本銘柄は基本的にはマキヤーベイと対比となっている為、オロロソシェリー樽3年、バーボン樽6か月程度で熟成された原酒を使用しているのではと言われています。(サナイグ原酒の熟成内訳の公開が無い為、推測となります)

 香りの特徴は素朴な麦の香り、アイラの中では薬品寄りのピーティーさ、そしてオロロソシェリーの中でも甘みの部分が特に強めです。その他、若くミドルカット率が高い原酒が、フルーティーさフレッシュさを作り出しており、キルホーマンの魅力の一つとなっています。

 テイストについては、香りよりもシェリーの甘みが強く、後半の薬品っぽさのあるピーティーさとのコントラストが気持ちよいです。また、ボディの重さはあるのですが、若い原酒とオロロソシェリーのスパイシーな部分が重すぎないテイストにしています。 

 アイラ好き、シェリー好きにはたまらない1本で、即買い銘柄です。一方、ピートの強いウイスキーに飲みなれていない方は、一旦は試飲してみるのをお勧めします。

キルホーマン蒸留所について

引用元:Neue Seite 1 (neuseeland-virtuell.de)

 キルホーマン蒸留所は2005年に、アンソニー・ウィリス氏によって創業を開始したアイラ島では最も新しい蒸留所になります。それまでは、ブナハーブン蒸留所が最も新しい蒸留所でしたが、当蒸留所の操業開始年が1881年ですので、実に124年ぶりの新蒸留所という事になります。

 蒸留所は、アイラ島北西部に位置し、農場の建物を一部改修することで蒸留所としてオープンしました。本蒸留所の最大の特徴は、原料の栽培からウイスキーのボトリングまでを100%アイラ島で実施している点にあります。

 アイラモルトと一括り表現されますが、他の蒸留所では原料はアイラ島外であったり、熟成をアイラ島外で行ったりする為、100%アイラで製造している蒸留所は、『キルホーマン蒸留所』のみという認識です。

 近年、キルホーマンの銘柄は人気が出ている為、需要に対して供給が追い付かなくなってきている状況です。100%アイラを守り切るのか、供給の安定化を優先して路線変更するかは一つの注目ポイントです。 

 

引用元:Kilchoman Distillery - Whisky.com

 上記は、キルホーマン蒸留所のポットスチルとなります。奥の赤色のポットスチルが初留用、手前の青色が再留用となります。再留用はひょうたん型の形状です。容量はアイラの中では最小ですが、近年の人気もあり、同様のポットスチルがもう2基追加されています。見た目からして愛嬌があり可愛いです。

 今後、年数表記のある熟成期間が一定数確保された銘柄も続々とリリースされてくると思います。楽しみでなりません。


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テイスティング

 ストレートが、作りてのこだわりを堪能できてお勧めな飲み方です。しかし、少し飲みにくさを感じるのであれば、ロックで飲まれるのが良いと思います。飲みやすくなります。

 

■ストレート

 グラスに注いだ瞬間から、部屋に広がる香りの力強さがあります。内容としては素朴な麦の香り、アイラの中では薬品寄りのピーティーさ、そしてオロロソシェリーの中でも甘みの部分が特に強いです。どの香りもはっきり重みがあり、忖度してこない感じがよいです。ただ、若い原酒の為、重さ一辺倒にはなっておらず、フレッシュさもふくまれているのも魅力です。

 テイストについては、香りよりもシェリーの甘みが強く、後半の薬品っぽさのあるピーティーさとのコントラストが気持ちよいです。また、ボディの重さはあるのですが、若い原酒とオロロソシェリーのスパイシーな部分が重すぎないテイストにしてくれています。

 ピート系ウイスキーの経験が浅い方にとっては、良さが分からないかもしれないですが、ピート好き、且つシェリー好きにとってはドハマりされると思います。

 

■少量の加水

 少量の加水をする事で、ピートのテイスト幅が広がります。土っぽいピーティ、海藻由来のピーティ、泥っぽいピーティ、そして若干人口っぽい薬品のようなピーティ。楽しいです。加水することで原酒の熟成年数の若さは垣間見えてきます。

 

■トワイスアップ

 うっすら麦の甘みを感じた後に、優しい海藻由来のピーティさ等があります。海、潮のテイストもやさしく感じます。

 

■ロック

 全体的なトーンを少し押さえて、飲みやすさを重視するのであればストレートよりもお勧めです。飲み口がさらっとします。ストレートとは違い、若干粉っぽいピーティさも感じるように思います。

 

■ハイボール

 美味しいですが、シェリーの甘さか、ピーティさかのどちらにも寄っていない中途半端感は人によっては感じそうです。シェリー系のハイボールによくある傾向です。

 

 以上、本日はアイラウイスキーの新生児、キルホーマン蒸留所が造る、キルホーマン サナイグを飲んでみました。アイラウイスキーがお好きな方には一押し銘柄です。

 

 シェリーではなくバーボン樽系がお好きなのであれば、バーボン樽メインのキルホーマン マキヤーベイがお勧めです。これも、作り手のこだわりが詰まった唯一無二銘柄です。