【1】アメリカン・ウイスキーの特徴が理解できる
【2】アメリカン・ウイスキーの主な種類について理解できる
【3】アメリカン・ウイスキーの主な蒸留所/銘柄について理解できる
一概にアメリカン・ウイスキーといっても、様々な種類があり、それぞれに特徴があります。それではどのような銘柄・特徴があるのかについて見ていきましょう!
アメリカン・ウイスキーの特徴と種類について
アメリカン・ウイスキーとは、アメリカで造られるウイスキーの総称になります。アメリカでは非常に様々な種類のウイスキーが造られており、原料の比率や蒸留・熟成・製造される地域等で分類できます。
アメリカンでは、バーボンとテネシーウイスキーが非常に有名です。テネシーウイスキーはバーボンと法律上の規定は同じですが、『チャコールメローイング』という製法が使用されているかどうかで区別されます。それでは主な種類について以下に解説致します。
バーボンウイスキー
■原料規定:トウモロコシを51%以上使用
■蒸留規定:80%以下で蒸留
■熟成規定:内側を焦がしたオーク樽に62.5%以下で樽詰めして熟成
テネシーウイスキー ※原料~熟成規定はバーボンと同じ
■原料規定:バーボンと同じ
■蒸留規定:バーボンと同じ
■熟成規定:バーボンと同じ
■その他規定:チャコールメローイング製法で造られていること
※チャコールメローイング製法について
引用元:プロセス | Jack Daniel's (jackdaniels.com)
蒸留直後のスピリッツを炭(サトウカエデ)の層に通過させてろ過する製法。数滴をぽたぽたと落として時間を掛けてろ過することにより、雑味を除去でき、まろやかで口当たりの良いウイスキーになる。
コーンウイスキー
■原料規定:トウモロコシを80%以上使用
■蒸留規定:バーボンと同じ
■熟成規定:ストレートコーンウイスキーは古樽、または焦がしていないオーク新樽に62.5%以下で樽詰し、2年以上熟成。
ライウイスキー
■原料規定:ライ麦を51%以上使用
■蒸留規定:バーボンと同じ
■熟成規定:バーボンと同じ
ホイートウイスキー
■原料規定:ホイート(小麦)を51%以上使用
■蒸留規定:バーボンと同じ
■熟成規定:バーボンと同じ
モルトウイスキー
■原料規定:モルト(大麦麦芽)を51%以上使用
■蒸留規定:バーボンと同じ
■熟成規定:バーボンと同じ
ライモルトウイスキー
■原料規定:ライモルト(ライ麦麦芽)を51%以上使用
■蒸留規定:バーボンと同じ
■熟成規定:バーボンと同じ
ブレンデッドウイスキー
ストレートウイスキーを20%以上使用し、それ以外のウイスキーまたはスピリッツをブレンドしたもの。
アメリカン・ウイスキーの主な蒸留所について
アメリカン・ウイスキーの主な生産地はケンタッキー州とテネシー州になります。バーボンの95%が実にケンタッキー州で製造されています。アメリカにスコッチ・ウイスキーの製法輸入したアイリッシュが、ウイスキー戦争を契機に、まだアメリカの統治下でなかったケンタッキー州やテネシー州に移住し、ウイスキー造りがその土地で盛んに行われるようになりました。主な蒸留所は以下になります。
【ケンタッキー州】
・バッファロートレース
・ブラウン フォーマン
・ヘヴン・ヒル
・ジムビーム
・メーカーズマーク
・フォアローゼズ
・ワイルドターキー
・ウッドフォードリザーブ
【テネシー州】
・ジャック ダニエル
・ジョージディッケル
アメリカン・ウイスキーの主な銘柄について
【バーボン】
■メーカーズマーク
バーボンの一般的な原料はコーン・ライ麦・大麦麦芽であるが、メーカーズマークではライ麦の代わりに冬小麦を使用される。ライ麦はスパイシーさを生み出す特徴があるが、代わりに冬小麦を使用することで、他のバーボンよりも柔らかい甘さを持つウイスキーとなる。
香りはオレンジやメイプルシロップのような優しい甘さがあり、テイストは香りの通りスイートで且つスムーズ。穀物の風味も多分に残っており、優しい味わい。個人的にはロックがおすすめ。
■ノブ クリーク
ドーンと、アルコール度数50%!かといってアルコールのツンとした感じが強いウイスキーなのかというとそうではない。非常に原料を厳選しており、且つ9年熟成の為、深みのある味わいとなっている。バニラやナッツが漂う、オークの香りに強めのスパイスを感じる。テイストはバニラの様な強い味わいと旨味がガツンと来る満足する1杯となる。
■ジムビーム
説明が要らないくらい、国内で良く飲まれている銘柄。スパイシー且つ爽やかな後味の為、ハイボールがよく似合う。最初にスパイシーな香りが来た後に、キャラメルのような甘い香りとかすかにオークを感じる。個人的にはハイボールがおすすめで、ストレートや加水でも物足りなさを感じる。
■ワイルドターキー
こちらもジムビームに続き、国内で良く飲まれている銘柄。他のバーボンと比較し、ライ麦と大麦麦芽を多く使用しており、コーンの割合が低い。その為、コーンによる甘さ抑えられており、ライ麦のスパイシーさが立っている。またアリゲーターチャーと呼ばれるタイル状になるまで焦がされた樽を使用して熟成させる為、独特のキャラメルやオレンジの香を持つ。ボディはリッチで、香り通り、深みのあるキャラメルやオレンジのテイスト。
■ブラントン
他のバーボンと比較し、原料で使用するコーンの割合が高い為、独特の甘みを感じる銘柄。ブラントンの候補となる原酒はまず4年間熟成される。そして、細かい基準(深み、香り、味わい等)に合格した樽だけが、ブラントン専用の倉庫に移され、さらに4年熟成される。シングルバレルの為、必ず1つの樽からボトリングされる。このように非常に大変な工程を経て、皆さんに手元に届く。
■ウッドフォードリザーブ
プレミアム。プレミアムの言葉が似あう。バーボンらしい力強さと満足感である一方、非常にまろやか。手作りにこだわっており、手作りであることを感じる銘柄。
私は自宅に必ず常備している。
【テネシー】
■ジャック ダニエル
非常に有名な銘柄の為、説明は不要かもしれないが、簡潔に特徴を記載する。芳香なフルーツの香りとメイプルの中にウッディな香りが複雑に同居している。テイストはフルーティでわずかに苦味も感じる。”It is not bourbon. It's JACK.
【ライ】
■オールド・オーヴァーホルト
かつては、アメリカといえばバーボンではなくライであり、その200年前当時の製法を守り続けた銘柄。ライ麦特有のスパイシーさを強く感じられる銘柄。ライを試されたいのであれば、是非本銘柄を試して頂きたい。
■テンプルトン ライ
あのアル・カポネが愛飲した銘柄。原料の90%以上がライ麦であり、蒸留時にポットスチルを使用する単式蒸留を採用。その為、非常に風味が豊かであり、初めて飲んだ時、これがライ・ウイスキーなのか!と感動した。アル・カポネは投獄中、ありとあらゆる手段を使用して入手して、隠れて飲んでいたとか。
【コーン】
■ジョージアムーン コーンウイスキー
コーンウイスキーはバーボンと異なり、熟成の縛りが無い為(ストレートコーンウイスキーは除く)本製品の熟成期間は30日以下となっており、また本製品は着色等もなく無色透明。コーンって甘くないの....?!と初めて飲まれた方は感じるかもです。熟成も無い為、アルコールの刺々しさがガツンとくる。その中にほのかにコーンを感じる。
【ブレンデッド】
■シーグラム セブンクラウン
禁酒法が廃止され翌年に発売された銘柄。当時、粗悪なウイスキーしかない中、品質にこだわり、アメリカ初のブレンデッドとして世に放たれた。軽い口当たりとまろやかさがあり、現代でも非常に人気がある。
以上、アメリカンを見てきました。流石、自由の国。色々な銘柄があり、知れば知る程深みにはまっていきます。