ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【アメリカン】ミクターズ US★1 スモールバッチバーボンを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】ミクターズ US★1 スモールバッチバーボンがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 本日は、アメリカで人気沸騰中のシリーズ、『ミクターズ US★1 スモールバッチバーボン』について見て飲んでいきます。バーボン特有のコーン甘みだけでなく、ライのビターさ、サワーさが備わった立体感のある味わいです。国内でも注目されつつある銘柄です。

 

ミクターズ US★1 スモールバッチバーボンについて

ミクターズ US1 スモール バッチ バーボン [ ウイスキー アメリカ合衆国 700ml ]

 バーボンウイスキーに分類され、スモールバッチの銘柄になります。最大の特徴は、バーボンの中では圧倒的なテイストの積層感、立体感を感じる事ができ、スイートさに加え、ライのビターさ、そしてサワーさが絶妙なテイストを醸しだします。 

 本蒸留所は気持ちが良い位、『コストを度外視したウイスキー造り』を追求されており、購入価格自体は比較的高めですが、製造方法、手法を理解すれば、むしろ安いと思ってしまう水準です。

 原料選びから、あらゆるウイスキー造りの工程において最高水準であろう努力がされており、他の大手バーボンメーカーが同様の対応を取った場合、本銘柄の2倍位の価格を設定しないと元がとれないのではないかと思われます。また、バーボンで最も有名な銘柄の一つ、『ブッカーズ』の製造経験のあるマスター・ディスティラーが本銘柄の製造に関与していたりと、日本でもじわりと注目度が高まっています。

 日本においては、コーンの甘みがメインのバーボンが好まれる傾向にあり、そのようなバーボンを好む方には、本銘柄は不向きかもしれません。一方で、ドライさやスパイシーさ等の複数テイスト、立体感のあるテイストを求める方にとっては、『奥深い!』と感動できる銘柄です。ウイスキーと言えばバーボンという世代の方にとっては、まさしく『これぞ求めていたバーボン』と評価されるのではないかと思います。

 

ミクターズ蒸留所について

引用元:Michter's Distillery Joe Magliocco Talks About Doubling Capacity to 1,000,000 Gallons - Distillery Trail

 アメリカ最古の蒸留所の一つであり、ルーツは1753年、スイス人の農夫であったジョン・シェンク氏がライ麦を原料としたライウイスキーを製造したことに由来します。

当時はライがメインであったものの、主原料をコーンとするバーボンの製造も徐々におこなうようになっており、アメリカ独立戦争の際に、ジョージ・ワシントンがペンシルベニアの本蒸留所を訪問し、部下の士気向上と体温維持の為に、本蒸留所のウイスキーを購入したエピソードは有名です。その後は、度重なるオーナーの変更や、禁酒法での操業停止等を得て、現在の蒸留所経営と繋がります。

 すべての製造工程において、惜しみない手間と努力をされているのですが、特に熟成樽の製造工程において、コストを相当かけているように思います。原則、熟成樽製造は本蒸留所で行っており、原料となる木材は少なくとも18か月(長いものでは48か月程度)乾燥させてます。その後、チャーする前にじっくりトーストしてテイストに奥行きがでるように工夫しています。本蒸留所の努力は、その他沢山あり、以下の動画から良く理解できます。

youtu.be

 

テイスティング

 加水にも強い銘柄ですが、ストレートのバランスとテイストの広がりが、とりわけ優秀です。

 

■ストレート

 何かの主張が強すぎない、落ち着いたテイストを持っています。基本的なバーボンの要素は含んでおり、バーボンとしての甘み、ゆっくりトーストされた風味、樽から来る若干の酸っぱさ、ライのスパイシーさ、ビターさ。コンテンツは落ち着きながらも豊富です。

 テイストについては、どちらかというと昔ながらの伝統的なバーボンのテイストを踏襲しています。軽いタッチの原料由来のコーンの甘みがあった後、樽の酸っぱさ、ライのスパイシーさ、チャーによる若干の苦味と最後の余韻はありながらキレの良さ。テイストの立体感もあり素晴らしいです。クラシカルなテイストが好みの方にとっては欠点を挙げる方が難しい位の出来です。

 

■少量の加水

 加水でも十分耐えられて、且つ各要素の輪郭が明確になります。ストレートよりも若干余韻は甘さに傾斜すると思います。ストレートからの加水の変化を楽しむのもありです。

 

■トワイスアップ

 好みの方には申し訳ないですが、少し厳しい飲み方に感じます。酸っぱさと少し表現しにくい、ぼやっとした後味が口に残ります。

 

■ロック

 香りはビター系のバーボンだなと感じる程度に抑えられます。テイストも合格点ですが、人によってはビターさとチャーの苦味を強く感じると思います。世代によって好みは分かれそうです。バーボン世代にとっては好まれる飲み方です。

 

■ハイボール

 好みが分かれると思います。酸っぱさ香るハイボールです。

 

 以上、本日はアメリカで特に評価されており、国内においても注目されつつある銘柄、『ミクターズ US★1 スモールバッチバーボン』を見て、飲んでみました。クラシカルなテイストの中にも、現代的なテイストも加わっている魅力的な銘柄です。