ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【スコッチ】エックス バイ グレンモーレンジィを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】エックス バイ グレンモーレンジィがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 シングルモルトでは珍しく、ハイボールを含むカクテルで使用されることを前提にプロモーションされている銘柄『エックス バイ グレンモーレンジィ』。

 確かに、ハイボールにすることでオリジナル銘柄にはなかったコクと芯の強さが、本シリーズが持つ、柑橘系の上品さを際立たせる、至高の1杯にしてくれます。それでは見て飲んでいきましょう。

 

エックス バイ グレンモーレンジィについて

グレンモーレンジ エックス バイ グレンモーレンジィ シングルモルト 正規品 40度 700ml

 スコッチシングルモルトとしては珍しく、ハイボールを含むカクテルで使用されることを前提にプロモーションされている銘柄になります。

 確かに、通常のグレンモーレンジィの特徴を踏襲しながら、強めのコクによりボディに厚みが増しており、何かで割っても負けない芯の強さがあります。自宅で飲む場合は、カクテルよりも、ハイボールとして飲むケースが多いと思いますが、ハイボールにした際の、グレンモーレンジィ特有の繊細なオレンジ系の華やかさと、後半のボディの厚みには感動します。

 具体的な製法については公開されておらず、詳細は不明ですが、おそらく熟成時に寒暖差を大きくして、原酒にコクを持たせているのではないかと推測します。バーボンではこれらの手法でコクを出すケースが多いですが、通じる舌の感覚を覚えます。

 『シングルモルトなのに、ハイボールで飲むのはもったいない!』と思われる方もおられると思いますが、その考えが変わるポテンシャルを秘めているので、是非飲んでみて欲しい銘柄です。

 また、シングルモルトとしてのポテンシャルも高く、ストレート、加水、ロックでもテイストに深みがあり、飲み方によって違う一面を見せてくれます。原則、通常のグレンモーレンジィの特徴である、甘い柑橘系とティラミス系のテイストを踏襲しているのですが、よりボディの輪郭がはっきりしているので、なんとなくレギュラーシリーズの『グレンモーレンジィ オリジナル10年』が繊細過ぎて良さが理解できなかった方でも、楽しめる1本になると思います。

 

グレンモーレンジィ蒸留所について

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引用元:ブランドストーリー | グレンモーレンジィ スペシャルサイト (mhdkk.com)

 1843年、ウィリアム・マセソンによって操業を開始し、現在ではシングルモルト販売数量が第4位と知名度の高い蒸留所になります。

 今となっては大きな蒸留所ですが、操業当初は資金面で特に苦労した蒸留所であり、古いビール工場を改修し、当時ビール工場にあった、ジンの蒸留で使用される首が長いポットスチルを使用してウイスキー造りを行ったのが始まりです。

 この首が長い形状により、グレンモーレンジィらしい、酒質の軽い、洗練されたウイスキーが造られることになります。(キリンと同じ位の背丈のシングルポットスチル)

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引用元:ブランドストーリー | グレンモーレンジィ スペシャルサイト (mhdkk.com)

 また、熟成樽に精通した事でも有名な蒸留所であり、スコッチで初めてバーボン樽を使用したのは、当蒸留所と言われています。それだけでなく、通称デザイナーカスクの開発を積極的に行っており、樽を細かくアレンジし、使い分けることで多彩な味わいを生み出しています。その集大成が毎年リリースされる『プライベートエディション』であり、グレンモーレンジィファンを虜にしています。

 

テイスティング

 プロモーション通り、ハイボールが頭一つ抜け出る美味しさです。その他の飲み方、ストレート等でも十分楽しめます。通常のグレンモーレンジィより全体的にテイストの輪郭ははっきりしています。

 

■ストレート

 全体的に甘く、みずみずしい柑橘系が香ります。ベースは通常のグレンモーレンジィですが、コクが追加されています。後半はうっすらティラミス等の洋菓子要素もあります。

 テイストはオレンジーピールを感じつつ、全体としてはクリームブリュレのような甘めのデザート感。スコッチでは珍しいコクの強さが輪郭をはっきりさせています。でも余韻は長く、飲み飽きない、しつこくない軽快な甘さです。

 

■少量の加水

 ストレートより、ビターさを追加したい方にはお勧めです。甘さあり、ビターさあり、コクあり、良いです。一般的なシングルモルトとしての飲み方をしてもポテンシャルが高いですねぇ。

 

■トワイスアップ

 酒質が軽い分、どうしても香りはかなり抑制されてしまいますが、味わいとしては奥深く、余韻も良いです。テイストはトワイスアップと似た傾向です。

 

■ロック

 前半は、柑橘系が強く前に出てくるようになります。オレンジのみずみずしい甘さとオレンジピール系のビターな両方を楽しめます。後半はティラミスの要素が強く、余韻も大人なティラミスが思いの他、長く続きます。

 

■ハイボール

 炭酸が弾けるのに合わせて、オレンジシャーベット、チョコレート、ハチミツ、ティラミスが心地よく広がります。これらのテイストをしっかりとコクが支えているので、バランスが優れています。多くの人に支持されるであろう分かりやすい美味しさです。

 

 私の場合、通常のグレンモーレンジィは上品且つ繊細で、少し物足りなさを感じる場面もありました。しかし、本銘柄は繊細さと力強さの両方を兼ね備えており、シーンを選ばず気軽に楽しめる良さを持っています。印象に残る銘柄です。