ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【アイリッシュ】カネマラ ディスティラーズエディションを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】カネマラ ディスティラーズエディションがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 アイリッシュでは珍しく、ピートが焚き込まれた『カネマラシリーズ』。その中でも、シェリー樽の原酒を一部使用しており、テイストの幅と複雑さが楽しめる銘柄です。

 

カネマラ ディスティラーズエディションについて

カネマラ ディスティラーズ エディション ピーテッドシングルモルト アイリッシュウイスキー 43度 700ml [並行輸入品]

 アイリッシュで唯一のピートが焚き込まれた麦芽を使用して作られたシングルモルトの『カネマラシリーズ』。ラガヴーリンやラフロイグに対抗する為に製造されたと言われています。その為、スコッチと基本的に同じ工程、手法を経て製造される為、テイストの傾向としてはスコッチに似ています。

 本銘柄はカネマラシリーズの中でも、ディスティラーズエディション(レギュラー銘柄と異なる製法を用いて製造すること)であり、レギュラーシリーズではバーボン樽のみを使用しますが、本銘柄はバーボンに加えシェリー樽の原酒を合わせて造られています。シェリー樽が加わる事で、よりテイストの幅と複雑さが各段に増しています。

 冒頭で、ラガヴーリンやラフロイグと対抗して造られたとご紹介しましたが、使用されているピートの種類はそれぞれの銘柄で異なっており、今回ご紹介するカネマラシリーズは、『土や泥のピート』を感じます。

 テイストは、オリジナルシリーズのバーボン樽由来のバニラビーンズ系が中心ですが、シェリー樽の上品なレーズン、ビターチョコレート、余韻はすっきりとした牧草やハーブを感じ、上手くバーボン樽とシェリー樽の両立ができた上品な味わいです。

 アイリッシュは基本的に熟成樽の雑味の少ない部分(多くの人が心地よいと感じるテイスト)のみを抽出する傾向にあります。その為、シェリーの上品な部分がしっかり反映されているので、カネマラ特有のピートとバニラビーンズ、若干の青りんご系のフルーツ感に合わせて、是非楽しんでみてください。

 

クーリー蒸留所について

引用元:Cooley Distillery - Whisky.com
 クーリー蒸留所は1989年にジョン・ティーリング氏によって創業を開始しました。ポットスチルに加え、連続式蒸留器が設置されている蒸留所になります。つまり、シングルモルトに加え、グレーンウイスキーも製造できる為、幅広い種類のウイスキーを生み出すポテンシャルを秘めた製造所となります。創業者のジョン氏は『アイリッシュの革命児』と呼ばれており、積極的にアイリッシュの型を破る挑戦をしています。

 大元のアイリッシュは2回蒸留のピート麦芽を使用するスタイルでしたが、英連邦政府が歴史的対立等から、大麦麦芽に超高額の関税をかけた為、税逃れの為に未発芽の麦芽やピートを焚かない原料を使用したのが、現在のアイリッシュのスタイルとして定着したと言われています。その為、ジョン氏の挑戦は、アイリッシュの威厳を取り戻す挑戦と言えるのかもしれません。

 代表銘柄として、『カネマラ』に加え、シングルモルトの『ターコネル』やコーンのみを原料としたシングルグレーンの『グリーノア』等があります。

 クーリー蒸留所は2011年にビームグローバル社に買収され、ビーム社は後にサントリー社に買収されて現在に至ります。クーリー蒸留所はチャレンジ精神旺盛で、目が離せない蒸留所の一つです。

 

テイスティング

 人によって飲み方の好みは分かれそうです。私はストレート、ロック、ハイボールが好きです。ストレートの場合は少し、アルコールの粗さが垣間見える弱手はあると思います。

 

■ストレート

 香りは、カネマラらしい、少し土のにおいがするピートを感じ、その後バニラ、レーズン、ハチミツ、そして爽やかな牧草等、多彩です。

 テイストは、バーボン樽由来のバニラやハチミツに近い甘みとシェリー樽由来のレーズンやプラム系の甘みの両方を感じます。また、土のピートが長めにやってきた後、アルコールの辛さ、そして牧草やハーブの余韻が長めに続きます。コンテンツが詰まった優秀さを感じます。

 若干の欠点は、アルコールの刺激が一瞬強く来ることでしょうか。これが、12年以上熟成の原酒等であれば、完璧な銘柄かもしれません。ただ、全体としては90点以上で高得点です。

 

■少量の加水

 ストレートと比較すると、ハーブ系の爽やかさが強調され、ビターテイストがぐっと顔を出してくるように思います。バーボン樽の甘みも増すので、テイストはストレートと比較し、よりクリアになります。

 

■トワイスアップ

 土のテイストが少し、もさっと残るように感じます。この飲み方は私はお勧めしないです。後味が悪いように感じます。

 

■ロック

 ストレート同様、多彩なコンテンツを体感できる、よくできた銘柄です。ストレートと比較し、土のピート感がより余韻として残ります。また、本銘柄でしか味わえない、シェリーの余韻とのコラボレーションがいいです。

 

■ハイボール

 ストレートのテイストを爽やかに、そしてスムーズにした、飲みやすいが、印象に残るハイボールです。美味しいです。

 

 以上、本日はピートとシェリーの旨味、そして爽やかさも堪能できる銘柄『カネマラ ディスティラーズエディション』について見て、飲んでみました。

 カネマラシリーズはアイラウイスキー好きから、華やか系ウイスキー好きまでの幅広い層から愛される銘柄です。そのシリーズの中でも、シェリーの上品さも味わえる唯一無二の銘柄です。