日本のシングルモルトとして確固たる地位を築く白州は、ミントの様な爽快感とフルーティーな味わいにより、愛飲家を惹きつけてやみません。しかし、その魅力を深く知るからこそ、次に求める一杯への期待も高まることと存じます。
本稿では、白州の特性に通じる要素を持ちながらも、それぞれが独自の個性を放つウイスキーをご紹介いたします。白州で培われた皆様の嗜好を満たし、さらなるウイスキーの世界へと誘う銘柄との出会いを、ぜひご期待ください。
白州について
ジャパニーズウイスキー好きにとって、知らない人はいない位、圧倒的な支持を集めている『白州』は、サントリーが南アルプスの豊かな自然に囲まれた白州蒸溜所で生み出す、日本のシングルモルトウイスキーです。森の蒸溜所と呼ばれるにふさわしく、清らかな水と澄んだ空気、そして豊かな森の恩恵を存分に受けて育まれます。
都会の喧騒を離れた森の中で熟成される原酒は、清涼感あふれる香りと、軽やかでスムーズな味わいが特徴です。ミントや新緑を思わせる爽やかな香りに、柑橘系のほのかな甘みが重なり、心地よいスモーキーさが全体を引き締めます。口に含むと、軽快ながらも複雑な風味が広がり、ドライで心地よい余韻が長く続きます。
それでは、白州好きの方にお勧めするウイスキー銘柄を複数ご紹介します。基本的に、フルーティーで飲みやすい銘柄を中心に選定しております。白州と味わいが同じ銘柄ではございませんので、その点はご留意ください。
お勧め銘柄
■サントリー スペシャルリザーブ
まずはこの銘柄を強くおすすめします。サントリー創業70周年を記念して発売されたブレンデッドウイスキーであり、その味わいの決め手となるキーモルトには白州蒸溜所のモルト原酒が使われています。
香りはバニラを思わせる甘く華やかな香りが特徴で、洋梨や青リンゴのようなフルーティーなニュアンスも感じられます。口当たりはまろやかで深みがあり、全体的に軽やかで飲みやすい仕上がりです。
特にハイボールにすると、白州由来の爽やかさやフルーティーさが引き立ち、食事にも合わせやすい万能なウイスキーとして親しまれています。手頃な価格帯で、気軽に白州のニュアンスを楽しめる一本です。
■ジョニーウォーカー グリーンラベル15年
『ジョニーウォーカー グリーンラベル 15年』は、15年以上熟成のシングルモルト原酒のみを厳選した「ブレンデッドモルト」ウイスキーです。タリスカー、リンクウッド、クラガンモア、カリラといった、各地の個性を放つモルトが絶妙に調和しています。
青リンゴや洋梨の爽やかなフルーティーさに、バニラやハチミツの甘さ、そして森林を思わせるウッディな香りが重なります。
口に含むと穏やかなスモーキーさと共に、滑らかな口当たりとスパイス、オークの風味が広がるのが特徴です。シングルモルトの良さを残しつつ、複雑で奥行きのある味わいは飲み飽きず、ストレート、ロック、ハイボールと様々な飲み方で楽しめます。
■シーバスリーガル18年 ミズナラカスクフィニッシュ
『シーバスリーガル18年 ミズナラカスクフィニッシュ』は18年以上熟成された選び抜かれたモルトとグレーンウイスキーをブレンドし、希少な日本産ミズナラ樽で丹念にフィニッシュした特別な逸品です。
ハチミツや熟した赤リンゴ、バニラ、シナモンを思わせる甘く芳醇なアロマに、ミズナラ樽由来のフローラルな香りが重なり、複雑で奥行きのある香りを醸し出します。
甘い杏子ジャムとダークチョコレートのような贅沢な味わいが広がり、クローブやクリーミーなトフィーのニュアンスが後を追います。長く続く甘美でスパイシーな余韻は、まさにスコットランドと日本のクラフトマンシップが融合した芸術品と言えるでしょう。ワンランク上のハイボールや水割りでもその魅力を存分にお楽しみいただけます。
■アラン10年
スコットランドのアラン島で生まれた『アラン10年』は、10年熟成とは思えないほどの柔らかさと滑らかさが特徴のシングルモルトです。ファーストフィルのバーボン樽とシェリー樽で熟成された原酒を絶妙にブレンド。
蜂蜜や砂糖漬けのシトラス、バタースコッチのような甘い香りに、シトラスやリンゴ、オーク、シナモンの風味が複雑に絡み合います。冷却ろ過や着色を行わない自然な製法で、麦芽本来の味わいを最大限に引き出しているのもポイント。
ストレートはもちろん、ロックやハイボールでもその個性が際立ちます。アラン島の清らかな自然が生み出す、クリーンでフルーティーな一本です。
■グレンフィディック12年
スコットランドのスペイサイド地方で1887年に創業した「グレンフィディック」は、ゲール語で「鹿の谷」を意味し、その名の通り鹿のロゴが特徴です。世界で初めてシングルモルトウイスキーとして瓶詰めされ、今日まで世界中で愛され続けるパイオニア的存在として知られています。
洋梨のようなフルーティーな香りと、滑らかでバランスの取れた味わいは、幅広い層から支持されています。定番の12年から、より熟成年数の長い希少なボトルまで幅広いラインナップを誇り、シングルモルトの奥深さを知る上では欠かせない、まさに王道の一本と言えるでしょう。
■グレンリベット12年
「シングルモルトの原点」と称される名門蒸留所が造るシングルモルトです。特に、『グレンリベット12年』は、ブランドの顔ともいえる、世界中で最も親しまれているシングルモルトの一つです。
アメリカンオーク樽とヨーロピアンオーク樽で12年以上熟成されることで、花のようなアロマとフルーティーな香りが特徴。洋梨や青リンゴのような爽やかさに、バニラやハチミツの甘さが加わり、非常にバランスの取れた味わいです。
スムースで飲みやすい口当たりは、シングルモルト初心者から愛好家まで、幅広い層に支持されています。
■グリーンスポット
『グリーンスポット』は、アイルランドで有名なワイン商社のミッチェル&サン(Mitchell&Son)社が所有するブランドであり、現在はジェムソン等で有名なミドルトン蒸留所に委託して製造、販売しています。
青リンゴや洋梨のようなフレッシュでフルーティーな香りが特徴で、バニラや蜂蜜のような甘さも感じられます。口当たりは非常に滑らかで、アイリッシュウイスキーらしい飲みやすさが魅力です。ハイボールはもちろん、ストレートやロックでも楽しめる1本です。
■響 JAPANESE HARMONY
『響 JAPANESE HARMONY』は、サントリーが誇るブレンデッドウイスキー「響」の精神を受け継ぎながら、日本の四季と日本人の感性を表現した逸品です。酒齢にこだわらず、サントリーが培ってきた多彩な原酒と匠の技が織りなす、これぞまさに「和」のハーモニー。
甘く華やかなフローラルな香りに、オレンジピールや白檀を思わせるアロマが重なり、奥行きのある香りを醸し出します。口に含むと、蜂蜜やトロピカルフルーツのような甘くまろやかな味わいが広がり、繊細ながらも奥行きのある余韻が長く続きます。
水のように滑らかな口当たりは、まさに「響」の名にふさわしい逸品。ストレートはもちろん、和食との相性も抜群で、日本のウイスキー文化を象徴する一本として、世界中で愛されています。
■カネマラ オリジナル
『カネマラ オリジナル』は、アイリッシュウイスキーとしては珍しい、ピーテッド麦芽を使用したシングルモルトです。アイルランド西部のピート高原にちなんで名付けられ、かつてのアイリッシュウイスキーが持っていたスモーキーな個性を復興させました。
グラスに注ぐと、繊細なスモーキーな香りに、バニラや蜂蜜の甘さが複雑に絡み合います。口に含むと、甘くまろやかな口当たりと共に、少し泥を連想させるピートの風味が感じられます。アイラモルトほど強烈ではなく、繊細で上品なスモーキーさは、アイリッシュウイスキーの新たな魅力を発見させてくれるでしょう。ストレートはもちろん、ハイボールにしてもその個性は際立ちます。
■クラガンモア12年
『クラガンモア12年』は、「ザ・クラシックモルト」シリーズのスペイサイド代表としても知られ、その品質の高さは折り紙つきです。有名ブレンデッドウイスキーである、『オールドパー』のキーモルトとして、重要な役割を担っています。
洋梨やメロンのようなフルーティーな香りに、はちみつやバニラの甘さ、ハーブや花のような複雑なアロマが絡み合います。口に含むと、クリーミーでなめらかな舌触りと共に、麦芽の甘み、柑橘系の爽やかさ、そして微かなウッディスモークやスパイスが絶妙なバランスで広がります。
スペイサイドモルトらしい、洗練されたエレガントな味わいは、食後の締めくくりや、落ち着いた時間を過ごすのに最適な一本です。少し加水に弱いかも。