【1】アードベッグ コリーヴレッカンがどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
『アードベッグ コリーヴレッカン』は、スコッチウイスキーの中でも特に力強い個性を持った銘柄です。スモーキー、スパイシー、そして甘美さも秘めた複雑な味わいは、一度体験したら、忘れられない衝撃を受ける事でしょう。
アードベッグ コリーヴレッカンについて
スコッチウイスキーの聖地、アイラ島で造られるウイスキーになります。アイラ島では、ピートが効いた個性豊かな銘柄が多いですが、『アードベッグシリーズ』はその中でも、最も個性が強い事で有名です。
具体的には、ピート香、ヨード香、スモーキの要素が極めて強く、且つピートの味わいも個性的です。レギュラー銘柄は、バーボン樽で熟成された『アードベッグTEN』になりますが、今回ご紹介する『アードベッグ コリーヴレッカン』は、アイラ島北部に位置するヨーロッパ最大の渦潮「コリーヴレッカン」にちなんで名付けられており、その名の通り、荒々しくも複雑でパワフルな味わいが特徴です。
フレンチオークの新樽で熟成された原酒を使用しており、強烈なスモーキーフレーバーの中に、スパイシーさ、甘み、フルーティーさが重なり合っています。
上記に加えて、ダークチョコレート、カシス、チェリーといった深みのある香りが加わり、飲むほどに変化を楽しめます。
口に含むと、胡椒のようなスパイシーさと共に、カシスの様な味わいが広がり、長く続く余韻には、香ばしいチョコレート系のニュアンスが感じられます。アルコール度数は57%程度と高く、力強い飲みごたえがありながらも、どことなくまろやかな口当たりも魅力です。
ストレートはもちろん、ロックや少量の加水でも美味しく、楽しめます。肉料理やスモークチーズ、ダークチョコレートなどとの相性が良いかもです。アードベッグの中でも特に個性的な一本として、多くのファンに愛されています。
アードベッグ蒸留所について
引用元:https://www.whisky.com/whisky-database/distilleries/details/ardbeg.html
アイラ島の最南端に、アードベッグ蒸留所、ラガヴーリン蒸留所、ラフロイグ蒸留所の3蒸留所が並ぶように建設されています。そしてこれら3蒸留所は教会の教区が同じことから『キルダルトン3兄弟』と呼ばれます。
アードベッグ蒸留所は1815年に建設され、1973年まではマクドゥーガル家によって経営されてきました。その後、カナダのハイラムウォーカー社とDCL社に買収されます。
『キルダルトン3兄弟』の中でも本蒸留所は、その後の経営が非常に苦しく、ウイスキー不況も相まって1981年に一度閉鎖されてしまいます。その後も再建しようと試みられますが、上手くいきませんでした。
その背景にはウイスキーの需要の問題だけでなく、当時のオーナーであるアライド社は、ラフロイグ蒸留所も保有しており、2つの蒸留所は必要でなく、設備の老朽化が進んでいたアードベッグ蒸留所は不要と判断されたそうです。そして、なんとたったの約13億円未満で売りに出されたそうで、購入したのがグレンモーレンジー社になります。グレンモーレンジー社のウイスキーのノウハウと、そのオーナーであるルイヴィトン社によってブランディングのテコ入れが行われ、当時では考えられない位の躍進を遂げる事となります。現在ではウイスキー界での革命児といっても過言ではありません。
テイスティング
ボディがしっかりしているので、どのような飲み方もできます。後は、あなたのよろしいように。個人的には、甘みも感じることができるロック推しです。
■ストレート
しっかりと、アードベッグのDNAを持っています。香りについては、強烈なスモーキーフレーバーと、海藻や薬品系の要素が強く、アードベッグらしさが全面にでています。加えて、フレンチオーク由来のスパイシーさ、そして青りんごの様なフレッシュなフルーティーさがあります。
更にその奥には、ダークチョコやカシスの要素も垣間見えてきます。しっかりしたスモーキーさを持ちながら、かなり複雑に仕上がっているのは圧巻です。
テイストについては、ハイテンションで口の中で暴れてきます。胡椒のようなスパイシーさと共に、フレッシュなカシスの様な味わいが広がり、その後海藻と潮気がやってきます。長く続く余韻には、香ばしいチョコレートや珈琲のニュアンスが感じられます。アルコール度数が高く、かなりパンチは効いていますが、するっと飲めてしまうのも、魅力であり、怖さでもあります。
■少量の加水
加水していくと、ストレート比較してオークのニュアンスと、スパイシーさが強調されてきます。ボディがしっかりしている分、問題なく美味しく飲めます。ただ、ストレートの方が、本銘柄の魅力がしっかり分かります。
■トワイスアップ
基本、トワイスアップと大きな違いはないです。潮気をより、感じます。
■ロック
冷やすことで、ストレートよりも甘みの部分がキャッチアップできるようになります。ストレートではあまり感じなかった麦の甘みが楽しめます。加えて、スパイシーさもワントーン高くなります。飲みごたえがすごい。ちびちび飲まないと直ぐに酔いが回りそうです。
■ハイボール
しっかりと海藻や潮気、スモーキーさが楽しめるハイボールです。輪郭もしっかりしており、ハイボールにしてもなお、力強さは健在です。美味しくて、ついつい飲み進めてしまうのですが、いつものペースで飲むと、気づいたら酔っぱらっています。『ワタシハダレ、ココハドコ』状態です。
アードベッグシリーズを試したことがない方は、コリーヴレッカンよりもまずは、TENをお勧めします。アードベッグとはどの様なウイスキーなのかを知る上で、欠かせない1本です。