【1】ザ・ディーコンがどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
本日は、シーバスリーガル等で有名なペルノリカール社が扱う『ザ・ディーコン』について見ていきます。個性の強いアイラ島のウイスキーと、華やかなスペイサイドのウイスキーがブレンドされており、飲み方次第ではバランスが良く、コスパの良い銘柄です。
ザ・ディーコンについて
2024年4月に展開企業向けに発売された銘柄であり、コンセプトとしては、『非常識な新感覚ブレンデッドスコッチウイスキー』として、今までの常識に縛られない銘柄を目指して造られました。
内容詳細は公開されていませんが、スペイサイドモルトとアイラモルトがブレンドされ、オレンジのフレーバーが付加されているとのことで、アイラ初心者でも飲みやす様に仕上げたとの事です。
しかし、実際には、スペイサイドの華やかな印象よりも、大分アイラに寄った中身となっており、スペイサイドモルトの要素を楽しみたくて、本銘柄を購入するとミスマッチが発生すると想定します。
一方、アイラ好きにとっては、面白くなること間違いなしの内容です。白煙系のスモーキーさや潮気、オレンジやバニラの柔らかい甘み等コンテンツ自体は多彩であり、ありそうでなかった新感覚というのも頷けます。
少し、ネガティブな要素としては、原酒自体が若く、若いネガティブな要素も垣間見えるのでストレートでは好みが分かれる可能性はあります。一方、ロックやハイボールではキラリと光る個性を持っています。
いずれにせよ、アイラ好きは購入して損はない銘柄です。ブレンデッドだからこそ出せる味わいかなと思います。アイラシングルモルトしか飲まない派の方も騙されたと思ってお試しあれ。
アイラモルトウイスキーの特徴について
引用元:Bowmore Distillery, Argyll-And-Bute | Cool Places
スコッチウイスキーはスコットランドのあらゆる地域で造られていますが、一般的に聖地と呼ばれている地域があります。一つは、華やかで上品な銘柄が多いスペイサイド地方になります。もう一つは、アイラ島です。
アイラ島で造られるウイスキーの多くは、原料にピートと呼ばれる植物や海藻が長期の年数経て固まってできた燃料が焚きこまれています。その結果、所謂スモーキー、ヨード香(正露丸の様な風味)等の個性的な味わいを持つ銘柄が多いのが特徴です。また、海辺に蒸留所が建てられているケースが多く、潮の香りがする傾向にあります。
アイラの中でも個性度合いに結構な差があります。この個性度合いは、概ね蒸留所の位置で分かるとされています。
上記がアイラ島になります。傾向的に島の南に行けば行くほど、個性が強いウイスキーを造る蒸留所になります。
地図の『ブナハーブン』と示される辺りに、ブナハーブン蒸留所があります。ピートが効いたウイスキーも造ってはいますが、アイラでありながピートが効いていない銘柄が主力製品となります。一方、『ポート・エリン』と記載されている右方面にアードベッグ蒸留所、ラガヴーリン蒸留所、ラフロイグ蒸留所があります。これらの蒸留所が造るウイスキーは非常に個性的で好みがはっきり分かれるウイスキーとなります。
テイスティング
基本的に、ハイボール、ロックがお勧めです。この2つの飲み方は本銘柄の特徴が活かせるとおもいます。美味しいです。一方、ストレートは若さが目立つので好みは分かれると思います。
■ストレート
スペイサイドもブレンドされているとの事ですが、基本的に、香りとテイスト共にアイラ系の要素が強いです。
香りについては、白煙系のスモーキーさがしっかり立っています。その中に、軽い潮気があります。また、熟成年数の若いアイラ系の、ピートとウイスキーが完全に馴染みきっていないニュアンスがあります。若いアイラによくみられる、蒸した豆の様な風味もあります。それ以外にオレンジ系の軽いフルーティーさもあり、この香りは全体をまとめる良いスパイスになっています。香りのコンテンツは豊富です。
テイストについては香りよりも、アイラを強く感じる中身になっています。口に含むとスモーキーさが口いっぱいに広がっていきます。その後柔らかい甘みとスパイシーさ等感じます。全体としては、やはり若い印象を強く受ける中身であり、ボディも軽めな感じです。この点をポジティブにとらえるか、ネガティブにとらえるかは人それぞれかなと思います。
メディア等で非常に高い評価を得ていますが、個人的にはストレートではそこまでは目新しい感じはないと率直に思いました。コンテンツの豊富さという点では面白いウイスキーです。
■少量の加水
ストレートと比較して、土っぽいピートを感じるようになります。アイラ!って感じがより出てきます。
■トワイスアップ
苔っぽさ等もでてくるので、アイラが好きな方にとっては、美味しく飲めると思います。
■ロック
冷やすと美味しいです。潮気とアイラの若い感じがマイルドになって舌に乗ってきます。そして、柔らかい甘みとほろ苦さがゆっくり流れていきます。ストレートで感じた、若いネガティブな要素もなくなるの、価格以上のパフォーマンスです。テイストに立体感があるのもGood!
■ハイボール
全体的に若い荒い部分が落ち着いて、本銘柄が持っているオレンジのフルーティーさや潮気が程よい塩梅です。熟成年数の若さもキレの良さになっているので、とてもバランスの良いハイボールです。