【1】アードベッグ ウーガダールがどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
スコッチの中でも、強烈なピートと個性を持ったウイスキー『アードベッグ』。今回は数あるアードベッグシリーズの中でも、一部にシェリー樽原酒が使用された『アードベッグ ウーガダール』をご紹介します。アードベッグらしい個性の中に、シェリーの甘さを感じる、魅惑的な銘柄です。
アードベッグ ウーガダールについて
スコッチウイスキーの聖地、アイラ島で造られるウイスキーになります。アイラ島では、ピートが効いた個性豊かな銘柄が多いですが、『アードベッグシリーズ』はその中でも、最も個性が強い事で有名です。
具体的には、ピート香、ヨード香、スモーキの要素が極めて強く、且つピートの味わいも個性的です。レギュラー銘柄は、バーボン樽で熟成された『アードベッグTEN』になりますが、今回ご紹介する『アードベッグ ウーガダール』は、一部にシェリー樽原酒を使用しており、際立つ個性に、シェリーの甘みが加わった銘柄です。
アードベッグ ウーガダールは、その水源であるウーガダール湖(ゲール語で「暗くて神秘的な場所」を意味する)に由来します。バーボン樽原酒とシェリー樽原酒(主にオロロソシェリー樽)をヴァッティングし、ほぼカスクストレングス(樽のウイスキーを水で薄めず)となっています。その為、力強い個性と複雑な香味で高い評価を得ています。
味わいの特徴としては、炭火の様なスモーキーフレーバーの奥に、レーズンや黒糖の甘み、微かに潮の香りが漂い、奥深い味わいです。特にロックでは、アードベッグらしい個性と甘みのバランスが良く、一日の終わりにゆったり楽しむのに最適です。
加水することで、スモーキーさがより明確になり、エスプレッソの様な味わいも顔を出すと評価されることがあります。
この個性的な味わいは、アイラウイスキー愛好家にとって忘れられない体験となるでしょう。ストレート、加水、ロックなど、様々な飲み方でその魅力を堪能することができます。
アードベッグ蒸留所について
引用元:https://www.whisky.com/whisky-database/distilleries/details/ardbeg.html
アイラ島の最南端に、アードベッグ蒸留所、ラガヴーリン蒸留所、ラフロイグ蒸留所の3蒸留所が並ぶように建設されています。そしてこれら3蒸留所は教会の教区が同じことから『キルダルトン3兄弟』と呼ばれます。
アードベッグ蒸留所は1815年に建設され、1973年まではマクドゥーガル家によって経営されてきました。その後、カナダのハイラムウォーカー社とDCL社に買収されます。
『キルダルトン3兄弟』の中でも本蒸留所は、その後の経営が非常に苦しく、ウイスキー不況も相まって1981年に一度閉鎖されてしまいます。その後も再建しようと試みられますが、上手くいきませんでした。
その背景にはウイスキーの需要の問題だけでなく、当時のオーナーであるアライド社は、ラフロイグ蒸留所も保有しており、2つの蒸留所は必要でなく、設備の老朽化が進んでいたアードベッグ蒸留所は不要と判断されたそうです。そして、なんとたったの約13億円未満で売りに出されたそうで、購入したのがグレンモーレンジー社になります。グレンモーレンジー社のウイスキーのノウハウと、そのオーナーであるルイヴィトン社によってブランディングのテコ入れが行われ、当時では考えられない位の躍進を遂げる事となります。現在ではウイスキー界での革命児といっても過言ではありません。
テイスティング
個人的にはロックが一番美味しいと思います。炭火や松明の味わいと共に、アードベッグの個性とシェリーの甘みのバランスが良いです。
■ストレート
香りについては、レギュラー銘柄のアードベッグTENの様な強烈な薬品感ではなく、湿ったくすぶった炭火に加え、潮気や黒糖、ほんの少しレーズン等を感じます。
テイストについても香りから受ける印象と似ており、柔らかいピートスモークに加え、黒糖、柔らかいハチミツ、シェリーのレーズンとスパイシーさ、そして最後に強めのピート等です。アードベッグTENは柑橘系の味わいがしますが、本銘柄は柑橘系のニュアンスはあまり感じないです。
くすぶった炭火や松明の味わいと共に、深みのある甘みと、アードベッグらしい個性がたまらないです。中毒性があります。
■少量の加水
加水する事で、スモーク&ピート感が分かりやすい位、強調されてきます。加えて、潮感もより前に出てきます。エスプレッソの様な味わいもあります。若い印象がでてくるので、気分に合わせてストレートと使い分けてみると良いかも知れません。
■トワイスアップ
全体的にぼんやりする事は否めないので、加水は少量の方が良いと個人的には思いました。
■ロック
最も本銘柄のポテンシャルを引き出せていると思います。落ち着いた、炭火や松明のスモーク感が口に広がり、黒糖やシェリーの甘みがバランスよく漂います。余韻も心地よいです。アードベッグの個性とシェリーの甘みの緩急が絶妙です。
■ハイボール
アードベッグらしい味わいです。アードベッグTEN同様、柑橘系の爽やかさも見えてきます。ただ、価格を考慮すると、ハイボールにしたい場合は、本銘柄ではなく、TENで十分だとも思います。
以上、本日はアードベッグシリーズの中でも、シェリー樽原酒を一部使用した『アードベッグ ウーガダール』をみて見ました。シェリーの甘みとアードベッグのしっかりした個性が良い塩梅で掛け合わされております。
アードベッグシリーズを試したことがない方は、ウーガダールよりもまずは、TENをお勧めします。アードベッグとはどの様なウイスキーなのかを知る上で、欠かせない1本です。