【1】アラン10年がどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
スコットランドの秘島、アラン島。その豊かな自然の中で育まれたシングルモルトウイスキー、『アラン』は、多くのウイスキー愛好家を魅了してやみません。中でも、ブランドの原点である『アラン10年』を本日はご紹介します。一口飲めば、アラン島の風土が感じられるような、清らかでフルーティーな香りが広がります。
アラン10年について
ロックランザ蒸留所が誇る『アラン10年』は、スコットランド、アラン島の豊かな自然の中で育まれた、バランスに秀でたシングルモルトウイスキーです。その熟成には、主にバーボン樽(ファーストフィル、セカンドフィル)とシェリー樽が用いられ、それぞれの樽が個性を与え、複雑で奥深い味わいを形成しています。
グラスに注がれたアラン10年は、明るいゴールドの輝きを放ちます。立ち昇る香りは、フレッシュなフルーツ(青リンゴ、シトラス)の爽やかさと、甘美なバニラ。シェリー樽由来のドライフルーツのニュアンスと、かすかなスパイス香が、香りの奥行きを豊かにしています。
テイストについては、滑らかな口当たりとともに、フルーティーな味わいと、リッチな甘さが広がります。バーボン樽由来の軽快さと、シェリー樽とオーク由来の穏やかなスパイスが、味わいの輪郭を引き締めます。
スコットランドでは、ブレンデッド用として蒸留所が造られる背景が多い中、本蒸留所はシングルモルトウイスキーを造る為に造られました。その為、シングルモルトとしてのポテンシャルを最大限に引き出せるように製法に特にプライドを持っています。
前述の通り、全体として、フルーティーさと滑らかな甘さが調和した、飲みやすく奥深い味わいに仕上がっています。アラン島の自然の恵みと、蒸溜所の丁寧な仕事、そして熟成に使用された樽の個性が凝縮された一本を、ぜひお楽しみください。
ロックランザ蒸留所
引用元:Lochranza Visitor Guide - Accommodation, Things To Do & More
スコットランド、アラン島北端に位置するロックランザ蒸留所は、豊かな自然環境と清冽な水源に恵まれた地で、卓越したシングルモルト・ウイスキーを製造しています。一般には、その製品ブランドである「アラン(Arran)」の名で広く認知されています。
19世紀以降、アラン島におけるウイスキー製造は一時途絶えておりましたが、1993~1995年頃にアイル・オブ・アラン蒸留所が設立され、150年以上ぶりに島の伝統が復興されました。この再興は、地域社会の強い要望と支援によって実現し、多くの投資家がその志に支援しました。アラン蒸留所は、2018年に島の南に新たなラグ蒸留所を建設したため、元から存在した蒸留所は、ロックランザ蒸留所と呼ばれるようになりました。
蒸留所の建設地において、イヌ鷲の生息が確認されたため、一時的に工事が中断されるという出来事がありました。その後、建設は再開され、このイヌ鷲は長きにわたり蒸留所を見守り続けたと言われています。この逸話は、アランのボトルに描かれる二羽のイヌ鷲の由来となっています。
ロックランザ蒸留所では、伝統的な製法を尊重しつつ、厳選された原料と熟練の職人技術により、少量ながらも高品質なシングルモルトウイスキーが生み出されています。その特徴は、柑橘系を中心とした繊細な香りと、モルト本来の自然な甘味との調和にあり、多くのファンを世界中で獲得しています。
テイスティング
基本的にどのような飲み方でも楽しめます。アランらしいフルーティさを味わいたいのであれば、ストレート、ロック、ハイボールです。個人的には、濃いめのハイボールが好きです。
■ストレート
香りについては、フルーティー中心な内容になっています。シトラスを中心に、青りんご、赤りんご、そして熟したバナナ等です。このフルーティーさをバニラ香が支えている印象です。
テイストについては、滑らかな舌触りと共に、香りから受ける印象通り、シトラスやりんご系のフルーティさが中心に広がってきます。島のウイスキーという事もあり、潮気も優しく感じます。後半には樽感もあり、全体として味わいの輪郭がしっかりしています。
■少量の加水
ストレートと比較して、フルーティさが抑えられて、樽の香りや渋みが少し強調されてきます。好み次第ですが、本銘柄のフルーティさを好む方が多いと思いますので、加水は人を選ぶ飲み方になるかもしれません。
■トワイスアップ
少量の加水と同様の傾向ですが、バーボン樽の焦げた苦味等もでてくる印象です。
■ロック
ストレートで感じたフルーティさに加え、シェリー樽由来のスパイシーさが顔を出してきます。アルコール度数が46%と一般的なウイスキーと比較して高めなので、しっかりと骨格を持った味わいです。良いと思います。
■ハイボール
とても美味しいです。少し濃いめに作ると、より本銘柄の味わいを楽しめると思います。フルーティーの中に潮気も感じます。そして後味はすっきりです。
シェリー系が好きな方は、シェリーカスクをお勧めします。シェリーの上品な味わいが楽しめる、非常にレベルの高い銘柄です。シェリー系の中でも相当推し銘柄です。