【1】ブッシュミルズ12年がどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
本日は、アイリッシュウイスキーの中で最も歴史を持ち、バーボン樽、オロロソシェリー樽、マルサラワイン樽の絶妙なバランスを持つ銘柄『ブュシュミルズ12年』について見ていきます。濃厚でリンゴの様な甘みが特にグッド ポイントです。
ブッシュミルズ12年について
本銘柄はアイリッシュシングルモルトに分類され、アイリッシュウイスキーの特徴の一つである、3回蒸留を経て12年以上熟成された銘柄になります。通常のウイスキーは2回蒸留が大半であり、2回と比較すると軽い酒質になるのがアイリッシュの特徴です。
熟成樽は、バーボン樽、オロロソシェリー樽が使用されており、それぞれの樽にて熟成された原酒を合わせた後に、マルサラワイン樽で、後熟させています。
印象としては、3つの樽のバランスが良く、それぞれの樽のポジティブな影響を楽しむことができる内容になっています。特に、マルサラワイン樽の特徴が光る銘柄であり、マルサラワインの豊かな香りが広がっています。全体としても、濃厚で柔らかい焼きリンゴのような甘みのあるテイストが良いと思います。
ブッシュミルズシリーズは熟年数表記毎に、使用する樽を変えてそれぞれの魅力を引き出しています。まずは手の届きやすい範囲として、ブッシュミルズ10年と本銘柄の12年を飲み比べてみると樽の違いによる味わいの違いを楽しめると思います。
10年は主にバーボン樽を使用しており、バニラの様な甘みの中にミントの様な清涼感があるとされています。一方、12年は濃厚さと甘みにフォーカスされています。両方とも、それぞれに良さがある良い銘柄であり、樽のウイスキーに与える影響の深みをしみじみと感じます。
ブッシュミルズ蒸留所について
引用元:北アイルランドのオールド・ ブッシュミルズ蒸留所、400年以上の歴史を感じよう|TapTrip
諸説ありますが、世界最古の蒸留所として有名な蒸留所になります。創業年は当時のイングランド国王であったジェームズ1世から蒸留所免許を賜った1608年。ブッシュミルズ蒸留所は1885年に一度、火災により焼失しており、現在の蒸留所は再建されたものになります(上記写真)。この蒸留所で原料の処理~ボトリングまで一貫して行われており、伝統を大切にしながら高い品質を保っております。
特に、アイリッシュは他のウイスキーと比較しても、消費量が低迷する苦しい時期を長らく歩んできており、本蒸留所も例外ではありませんでした。しかし、実直に品質の高いウイスキー造りに一貫して取り組んできており、低迷期から比較すると3倍以上の消費量を現在では確保しています。そして、その人気は更に勢いを増しています。
ブッシュミルズ蒸留所は北アイルランドに位置し、北アイルランドの人々の暮らしになくてはならない存在となっています。それが良くわかる例として、ブッシュミルズ蒸留所誕生400年を記念して、旧ブッシュミルズ蒸留所が描かれた紙幣が発行されました。
引用元:10ポンド券(アイルランド銀行発行 2019年発行) < 北アイルランド < 海外通貨 < 文鉄・お札とコインの資料館 (buntetsu.net)
テイスティング
悩みますが、ストレートが最も好みであり、樽のマネージメントの良さを理解できます。ハイボールも美味しいです!
■ストレート
香りについては、グラスに注いて少し置いておくと開花していきます。クランベリーやチェリー、焼きリンゴ、ブドウの皮の渋み等でしょうか。全体的に甘い香りに包まれており、上品なお菓子の様です。
テイストについても、香りから受ける印象と似ています。ただ、香りよりもカカオやマルサラワイン?の渋み等、少し大人なテイスト要素もあります。全体的に厚さがある濃厚な味わいですが、どことなく10年で感じる爽快感もありそうです。
■少量の加水
ストレートと比較して、マルサラワインの特徴が強調されるように感じます。ブドウの皮の様な渋みも増してきます。ストレートと甲乙つけがたいので、気分に合わせて使い分けようと思います。
■トワイスアップ
全体的にぼんやりして、樽の渋み、えぐみがふわっと感じます。私は好みではないです。
■ロック
ストレートと比較するとビターになります。あと、少し硫黄の様なテイストもします。好みは分かれそうです。
■ハイボール
酒質は軽いですが、アプリコットやバニラの甘みを感じるハイボールです。美味しいです。人によってはいつも通り作ると薄く感じるので、気持ち濃いめに作るとより楽しめるでしょう。