【1】アンノック12年がどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
ハイランドやスペイサイド等の華やかなウイスキー好きにとって、外すことのできない銘柄、『アンノック12年』。ライトなボディに纏うはちみつとレモンの繊細なアロマ。それでは、見て飲んでいきましょう。実は、ピート系のシリーズもあり、ピート好きも必見です。
アンノック12年について
スコッチシングルモルトに分類され、その中でも比較的華やかな銘柄が多い、ハイランド地方の蒸留所で造られる銘柄『アンノック12年』。最大の魅力は、ライトなボディに香る柑橘系のアロマであり、まるで香水の様です。
香りだけでなく、もちろんテイストについても魅力は詰まっています。ライトなボディに、はちみつ、レモンのアロマを纏っており、後半は軽めのカスタードで最後にスパイシーで締まります。加水には弱い部類にはなりますが、加水の量を上手く調整できれば、ストレート~トワイスアップまでで沢山のフレーバーに出会うことができます。
バーボン樽とシェリー樽の両方の原酒を使用して造られているだけあり、飲みやすいにも関わらず、複雑で多彩なフレーバーが、どれも主張しすぎない程度に詰まっており、加水に従いこれらのフレーバーが顔を出したり、引っ込んだりします。
後半のカスタード感は若干『オールドプルトニー』、特にシングルカスク感があるなあと個人的には思います。シングルカスクばらつきが大きいので、皆様のイメージと合致するかは分かりませんが、プルトニーの要素は含まれていると思います。
ノックドゥー蒸留所について
引用元:Contact Details for The anCnoc Distillery (Knockdhu Distillery) (planetwhiskies.com)
創業は1893年であり、ディスティラリーズ・カンパニー・リミテッド社(DCL社)によって造られた蒸留所になります。操業当時は、ウイスキーのトレンドの違いもありブレンデッド用にウイスキーを製造している蒸留所でした。
DCL社は当時多くの蒸留所を保有していましたが、その大半が買収によって得た蒸留所でした。しかし、本蒸留所は正真正銘DCL社が建設した蒸留所になります。その後、親会社が数社変更になり、現在はタイ・ビバレッジ社が保有しております。
本蒸留所がシングルモルトに力を入れ始めたのは、親会社がタイ・ビバレッジ社になった2000年以降であり、シングルモルトにおいてはまだ歴史が浅い為、決して日本においては、知名度が高くないのが現状です。しかし、バランスが取れた良いシングルモルトを世に送り出しています。
本蒸留所は発酵に特に特徴を持たせており、全体で65~70時間かけて発酵を行い、その内20時間程は、後発酵という発酵槽の種類を変えて行われています。この発酵工程を丁寧に行う為、本蒸留所が造るウイスキーは、華やかでハチミツやレモンの風味を纏った、多くの方を魅了するウイスキーとなっています。
テイスティング
ボディが繊細なので、まずはストレートがお勧めです。その後、色々な飲み方を試されるとよいと思います。ハイボールにすれば、甘みを含んだ爽やかなテイストになります。ストレートから加水の大きなテイスト変化を楽しむのも本銘柄の魅力です。
■ストレート
香りはそこまで強くないのですが、ハチミツ、レモン、ミントのような、軽く甘くそして爽やかな感じです。全体としてどの香りもソフトで優しいです。
テイストに関しては、柑橘系のテイストが最初に楽しめます。柑橘系でも少し柑橘系の皮を含んだテイストで、若干の苦味のようなものもあります。その後、ハチミツの優しい甘さで包まれます。そして、最後は思いの他スパイシーでキレの良さを発揮します。
■少量の加水
ほんの少量の加水で輪郭がはっきりします。そして、樽の風味が浮き出てきます。華やかなウイスキーに強さや分かりやすさを求めるのであれば、少量の加水はお勧めです。一方、少しはちみつのような甘みは減衰します。
■トワイスアップ
香りは弱いのですが、レモン感が強調され、ストレートや加水とは違う印象のウイスキーになります。
■ロック
持ち味の甘み系のテイストが抑えられ、華やかさもトーンが落ちます。樽の渋みに加え、酸味も加わってきます。完全に好みによって分かれますが、ロックであればアンノックである必要性はあまり感じません。
■ハイボール
華やか系のハイボールは大体美味しく仕上がります。本銘柄も美味しいです。優しい甘みを含んだ爽やかなハイボールです。でもキレは相変わらずいいです。
以上、本日はバランスが取れており、ライトなボディに纏うはちみつとレモンの繊細なアロマがたまらない銘柄、『アンノック12年』を飲んでみました。個人的には気に入っており、アンノックシリーズのいずれかは必ず自宅にストックしています。
また、前述の通り、国内においては全く知名度が無いですが、へビーピートからフルーティーの世界へ振れる銘柄、『ピートハート』はピート好きは一度は味わっておきたい銘柄です。ちなみに、ピート炊き込み料は約40ppmです。