【1】ジョージア ムーンがどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
本日は、原料にトウモロコシを80%以上使用して造られた、コーンウイスキー『ジョージア ムーン』を飲んでいきます。熟成期間は30日未満であり、ウイスキーよりも焼酎等に近い味わいが楽しめる銘柄です。特に柑橘系との相性がよいです。
ジョージア ムーンについて
アメリカンウイスキーの中でも、コーンウイスキーに分類されるのが本銘柄です。一般的に、アメリカンウイスキーではバーボンウイスキーが有名ですが、コーンウイスキーとバーボンの大きく違う点は、①原材料の内訳(バーボンはトウモロコシ51%以上使用、コーンウイスキーは80%以上使用)、②熟成期間(バーボンはオークの新樽で熟成、コーンウイスキーは熟成の必要なし)となります。
イメージとして、コーンウイスキーは『甘口で飲みやすそう』と思われる方もいるのではないかと思いますが、実際のテイストは真逆に近いです。特に本銘柄は熟成期間が30日未満であり、その影響が大きく、荒くアルコール感が強い飲み物になります。イメージとしては、『トウモロコシで造った焼酎』を想像していただけると分かりやすいと思います。
本銘柄は、現在もおそらく『ヘブン・ヒル蒸留所』で蒸留した原酒を用いて、『ザ・ジョンソン・ディスティリング社』によってボトリングして販売しています。ジョンソン社の有名銘柄は少ないですが、ヘブン・ヒルの銘柄としては、丁寧な熟成から醸し出される上品さを備えた『Evan Williams12年』等代表銘柄が多くあります。
話を、ジョージア ムーンに戻します。本銘柄は1920年の禁酒法時代に密造酒として造られたことに起源があります。その為、熟成はほとんどせず、かつウイスキーとは分かりにくいように、ジャムやマヨネーズ等で使用される形状の瓶に詰められています。
一見、製造過程においてのこだわりポイントが見当たりにくいのですが、銘柄名にもある通り、『ジョージア州』で採れる原料だけを使用していたりと、見えない努力は多数存在します。
多くのウイスキー系のレビューでは『美味しくない!』が大半を占めますが、一般的なウイスキーとは別ジャンルとして味わうと、本銘柄の良さは見えてきます。また、アメリカでは柑橘系と組み合わせた飲み方が良くされるので、ご家庭ではレモンを絞って飲んでみるのも良いかもしれませんね。
ヘブン・ヒル蒸留所について
引用元:Tasting Evan Williams, Elijah Craig and other Heaven Hill whiskeys | Master of Malt Blog
本蒸留所の操業は1935年であり、禁酒法の廃止から2年後に操業を開始しました。創業当時はバーボンの市場は低迷しておりましたが、これから良質なウイスキーを造っていこうとする流れが起き始めていた時代になります。
現在も家族経営の蒸留所であり、規模としてもかなり大きい蒸留所です。1996年の火災の影響で蒸留所を移転したり、苦しい局面もありましたが、現在新しい蒸留所の建設を行っており、今後生産数量も拡大していくことが予定されています。
本蒸留所ではEvan Williamsを始めとしたバーボンウイスキーだけでなく、コーンウイスキーやライウイスキー等も幅広く製造しており、その他のリキュール類(主にHpnotiq)も販売していたりと手広くビジネスを展開されています。
テイスティング
ウイスキーというよりも、焼酎みたいな飲みものとして楽しむと良いと思います。レモンとの相性が良く、ロックにレモン、お湯割りにレモン辺りがお気に入りです。
■ストレート
熟成期間が極めて短い為、蒸留したてのニューポットの特徴がメインとなります。しかし、香りにはしっかりとコーン由来の素朴な穀物感がありますので、決して嫌な印象は無いです。ただし、飲みやすくはなさそうという印象は持ちます。
テイストは、アルコールの粗さがあるものの、香り同様、コーン由来の香ばしさと甘みがあります。焼酎に近く、ストレートでも十分美味しいと思います。ただし、単調な味わいの為、飲み進めていくと飽きは来るかもしれません。
■少量の加水
加水することで、アルコールの粗さと辛味が増すので、ストレートと比較して飲みにくくはなりますが、パンチが出る分、飲み飽きないテイストに変化していきます。ベースはストレートと同様です。
■トワイスアップ
美味しいと思います。穀物の甘みの余韻が長くなるので、味わい深くなります。お湯で割っても美味しいです。
■ロック
コーンで造った焼酎です。焼酎好きでしたら、美味しく飲めると思います。ここに、レモンを薄くスライスして入れると、香りも立って幅が広がります。柑橘系と愛称がいいです。
■ハイボール
焼酎ハイボールです。ロック同様、レモンを入れると映えます。
以上、本日は少し個性の強い銘柄、『ジョージア ムーン』を見てみました。本銘柄の特徴を理解して飲むと、巷の評価よりも圧倒的に楽しく、そして美味しく飲めると思いますよ。