ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【アイリッシュ】HYDE(ハイド) NO.3 ジ アラス カスクを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】HYDE(ハイド) NO.3 ジ アラス カスクがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 本日は、『HYDE(ハイド) NO.3 ジ アラス カスク』を見て飲んでいきます。知名度はまだこれからですが、完成度は高く、香り豊かな銘柄です。これから注目されること間違いなしです。

 

HYDE(ハイド) NO.3 ジ アラス カスクについて

ハイド NO.3 ジ アラス カスク 700ml 1.454 kilograms

 HYDEとは世界中からヴィンテージ樽を購入し、独自の熟成を行って販売する、『ボンダー』と呼ばれる生産者になります。かつて、アイルランドでは、蒸留までの工程と蒸留以降の工程を分業する事が伝統的に行われてきた背景があり、知識豊富なボンダーからリリースされる銘柄は評価が良く、根強い人気があります。

 本銘柄は、HYDEと言うボンダーからリリースされるシングルグレーンウイスキーであり、コーンの風味が若干残る原酒を使用することで、ウイスキー自体に優しい甘さを付加しています。

 更にここからが、HYDEの腕の見せ所です。今までのノウハウを駆使して、状態の良いバーボン樽を調達し、偏西風の影響により、季節問わず安定したアイルランドコーク州の気候でゆっくりと6年以上かけて樽の旨味を抽出していきます。

 本銘柄NO.3においては、原酒の個性が少ないグレーンウイスキーを使用している為、熟成のスキルがダイレクトにウイスキーのテイストに反映します。しかし、流石、注目ボンダー。樽の選別から熟成工程までを完璧に行い、上品で香り高いウイスキーに仕上げています。

 香りについては、バーボン由来のカラメルの上品な甘さに傾斜していますが、シナモンやクローブといった香辛料の奥深さ、ほんの少しスパイシーな要素もあり、香りだけでも満足できそうです。

 テイストについては、香りから抱く印象とは違うように思います。所謂、スパイシーさの方がウェイトを占めています。前半はグレーン特有のピリッとくるスパイシーさ、ブラックペッパー、そしてバーボン樽のチャーしたスパイシーさとビターさ。後半は、バニラエッセンスを感じるバニラ感とオークの風味が広がります。余韻は長く全体のまとまりが良いです。香りは上品な女性、テイストは気遣いのできる男性と言ったイメージです。

 メインはビターなウイスキー好きな方向けになると思いますが、香りの良さ、テイストの中に上品な甘さもありますので、それ以外の方でも十分楽しめる可能性はあります。是非、熟成のスキルの高さを感じつつお楽しみください。

 

HYDE(ハイド)について

引用元:Hyde Irish Whiskey from Hibernia Distillers - Cocktails & Bars (cocktailsandbars.com)
 HYDEはボンダーと呼ばれる、自身の蒸留所は持たずに、アイリッシュウイスキー原酒と世界中から特徴溢れる品質の高い樽を調達して、原酒に付加価値をもたらす生産者になります。

 元々、アイルランドでは、蒸留までの工程と蒸留後の工程を分業していた歴史があり、前者を蒸留所が担い、後者をボンダーが担って、ウイスキーにより明確な特徴とブランドを付加していました。

 しかし、1920年代以降になるとアイリッシュウイスキー自体が衰退の時代を迎える事となり、数百存在した蒸留所は殆どが廃業となってしまいます。当然、蒸留以降の工程を担っていたボンダーの衰退も意味し、家族経営の一部のボンダーを除く大部分は壊滅してしまいます。

 今回取り上げる、HYDEについては、1640年~1962年までパブの経営をされており、その過程でボンダーとして営業されていたと聞いています。(正確な情報を個人的には確認できていません)これらの経験から、ウイスキーやワイン等のノウハウを相当保有されていたのは事実であり、蓄積した知識、ノウハウを駆使して、近年良い銘柄を継続的にリリースしています。

 アイリッシュウイスキーの人気の高まりから、近年ボンダーの復活の兆しが見え始めております。アイリッシュの人気を更に高めていく上で、重要な存在であることは間違いなく、今後益々、活躍されることと思います。

 

テイスティング

 持ち味の香りを楽しめるストレートか、爽快なテイストを楽しめるハイボールがお勧めです。ストレートの香りはすごく上品です。

 

■ストレート

 前述の通り、香りは、バーボン由来のカラメルの上品な甘さ、シナモン等の香辛料、少しスパイシーな要素が中心です。バーボン樽で熟成された銘柄の中でもトップクラスに心地よい香りです。

 テイストはビターがメインです。グレーンから来るビターさが苦手な方は、少しマイナスポイントになる可能性はあります。しかし、それ以外に、樽由来のブラックペッパー、焦がした樽の苦味。後半は、バニラエッセンスを感じるバニラ感とオークの風味が広がり、コンテンツは多彩です。

 

■少量の加水

 少量の加水では、ストレートとそこまで大きな差は無いように感じます。少し、余韻のビターさが長くなったように感じます。

 

■トワイスアップ

 香りが急速に弱くなるので、あまりお勧めの飲み方では無いです。テイストは、バーボンをトワイスアップした様に、スパイシーが抑えられ甘みが広がるようになります。

 

■ロック

 テイストではクローブやシナモンが少し幅を利かせてくるので、個人的には個性があり好きです。ただ、持ち味の香りが大分抑えられるので、やはりストレートが良いと思います。

 

■ハイボール

 グレーンウイスキーと炭酸水の組み合わせは裏切らないです。すごく親和性がよく、何の違和感もなくするっと喉を通り超していきます。ジンジャー要素もでてきます。美味しい。

 

 以上、本日は熟成のプロHYDEが手掛ける銘柄、『HYDE(ハイド) NO.3 ジ アラス カスク』について飲んで見ました。

 今回は、国内でも十分量流通しているNO.3をご紹介しましたが、その他のナンバーにおいても個性的で完成度が高い銘柄をリリースしています。(国内では他の銘柄の大半は国内未発売)まずは、NO.3を試して頂き、熟成のスキルにほれ込んだ方には、並行輸入や個人輸入にて、NO.1(シェリーカスクフィニッシュ)やNo.5(ピノノワールカスクフィニッシュ)等をお勧めします。