ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【アメリカン】ジャック ダニエル シングルモルト(Twice Barreled)を飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】ジャック ダニエル シングルモルトがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 ジャックダニエルとしては初めてとなる、シングルモルトウイスキーが米国において、数量限定でリリースされました。どのようなテイストなのでしょうか?それでは、見て飲んでいきたいと思います。今後の期待ができる、コンテンツが沢山含まれた銘柄でした!

 

ジャックダニエル シングルモルト(Twice Barreled)について

引用元:Buy Jack Daniel’s Single Barrel 2022 Special Release Twice Barreled American Single Malt Online | The Barrel Tap

 販売名称としては、『JACK DANIEL’S TWICE BARRELED Special Release  AMERICAN SINGLE MALT』となり、テネシー州初となるシングルシングルモルトウイスキーです。

 皆さんご存じの通り、ジャックダニエルシリーズはバーボン(テネシーウイスキー)がメインであり、トウモロコシが原料となります。しかし、今回はモルト100%を原料としており、アメリカンウイスキーをメインで製造している大きな蒸留所で、シングルモルトウイスキー造りが始まったことは、今後の更なるアメリカンウイスキーの多様化に期待できる流れと思います。

 本銘柄のその他の特徴として、名称にある通り『ジャックダニエル』、『トワイスバレル』です。ジャックダニエルのお家芸である、蒸留したウイスキーをサトウカエデの炭で濾過してすっきりとした味わいにする『チャコールメローイング製法』が本銘柄にも実施されています。シングルモルトとは言え、この製法が実施されていることで『ジャックダニエル化』がされており、唯一無二なシングルモルトとなっています。

 また、2つの異なる樽を熟成に使用しています。1つ目は、シングルモルトでは比較的珍しい、オークの新樽を使用して最低4年熟成されます。樽を焼いた新樽を使用しているので、スコッチではあまり見かけないような力強いテイストとなっており、『アメリカンぽいなぁ』と思わせてくれます。更に、オロロソ系のシェリー樽で追加熟成されており、味の深みと繊細さが追加されています。そして、アルコール度数53%がフルボディーの飲みごたえを提供してくれます。

 残念ながら本銘柄は、アメリカでの数量限定販売であり、本銘柄自体は今のところ追加リリースの予定はない様です。また、アメリカにおいても定価の10倍近い値がついていることから、入手自体は困難かもしれません。しかし、今後本蒸留所からシングルモルトがリリースされるかもしれませんので、今後の動向に目が離せません。

 以下、バーボンですが、ジャックダニエルシングルモルトと基本的なウイスキーの傾向は似ているものがあると思います。まずは、ジャックダニエルシングルバレルを飲みながら、次のシングルモルトのリリースを気長に待つのも良いですね。

 

ジャックダニエル蒸留所について

 ジャックダニエル蒸留所はアメリカのテネシー州ムーア群リンチバーグに位置しております。創業者のジェスパー・N・ダニエルは1850年に貧困な家庭に生まれ、7歳の時に家族の友人に預けられることとなります。そして教会の牧師であり、蒸留所のオーナーであったダン・コールに雇われ『チャコールメローイング』によるウイスキー造りを習得していきます。1866年に20歳になったジャックは、アメリカ政府登録第一号となるジャックダニエル蒸留所を設立します。

 1904年にはOld No.7をセントルイス万国博覧会で出品し、世界各国のウイスキーで唯一金賞獲得し、世に知れ渡る事となります。しかし、その後の禁酒法時代により事実上の閉鎖に追い込まれ、後にブラウン・フォーマン株式会社に買収され、再開されて現在に至ります。

 ちなみに、テネシー州ムーア群は禁酒法時代の影響を現在でも受けており、Dry County(禁酒群)、要は酒類の販売が禁止されている地域の一つです。その為、ジャックダニエルを飲みたければ、ムーア群外で購入する必要があります。禁酒法前から蒸留所は存在していたので仕方ないのでしょうが、なんとも不思議な状況です。※蒸留所内のお店では購入できます。

 

テイスティング

 バーボン好きの為の、シングルモルトという新たなジャンルように感じます。複雑で飲みごたえも十分です。今後の期待を込めてコメントするのであれば、もう少しモルト感があればより面白いウイスキーになるかもしれません。

 今回3人で飲んでレビューしましたが、私を含む2名がストレート、1名がロックがお勧めとなりました。ストレートの理由はアメリカンというジャンルのモルトウイスキーであることをより実感できる為です。ロックのお勧め理由はチャコールメローイングの効きが良くわかるので、ジャックダニエルのシングルモルトを実感できる為です。

 

■ストレート

 香りは結構濃厚です。柔らかい感じのミルクチョコレート、オーク感、バニラに若干のバナナ感、チャコールメローイングから来るハーブ感、そして軽いベリー感。香りだけでも複雑なのが分かります。でもやはり、新樽とチャーから来る香りの割合が多く感じるので、バーボンぽいなあと思います。

 口に含むと、まずは若干まとわりつくような濃厚さからテイストが始まります。その後、酸味を伴ったベリー系果実感を感じた後にウッディーさ、オロロソ系のスパイスさ、後半はナッツ系、チョコレートのような感じです。後半に行けば行く程、アルコールの力強さや重厚さを感じます。最後は少し皮靴の味?がします。複雑ですが、濃淡がはっきりしている銘柄かなと思います。

 

■少量の加水

 加水は、テイストの輪郭がぼやける感じがします。そしてウッディーさに大分傾斜していきます。バーボンの加水の雰囲気と結構似ています。

 

■トワイスアップ

 酸味のある、木の搾り汁って感じです。

 

■ロック

 香り自体はストレートと比較し相当抑えられるのですが、樽の濃厚さとオロロソのスパイシーさが強調されます。ダブルバレルの特徴を楽しみたいのであれば、良い飲み方です。また、ジャックダニエルらしい後半のすっきりしたハーブ感も強調されるので、これぞ『ジャックダニエルが造ったシングルモルト』って感じです。ロックが一番モルト感も分かる気がします。

 

■ハイボール

 これは、好みが分かれそうです。私は好みではないです。もっちゃり、ぼんやりしたハイボールです。

 

 以上、本日はジャックダニエル初の試みとなる『ジャックダニエルシングルモルト』について見て飲んで見ました。これぞ、バーボン好きが好むシングルモルトです。今後の動向に期待です!

 本銘柄は入手は困難ですが、バーボン要素とジャックダニエル要素は多分に含んだ銘柄であり、濃厚さからジャックダニエルシングルバレルに通じる所があるように感じました。