【1】ラフロイグ セレクトカスクがどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
英国王室御用達(ワラント)を授かっており、アイラらしく、その中でも十分な個性を発揮している『ラフロイグ』。別名『アイラの王』と呼ばれることもあります。今回はラフロイグの個性が理解でき、それでいてバランスがよくて飲みやすい『ラフロイグ セレクトカスク』について見て、飲んでいきたいと思います。
ラフロイグ セレクトカスクについて
アイラ系は好きな方と嫌いな方がはっきりするジャンルになりますが、その中でも『ラフロイグ』についてはより好みが分かれる傾向にあります。それはベースとなる『ラフロイグ 10年』が磯や苔の香りをふんだんに含んでいる為、アイラの中でも個性が際立っている為です。
しかし、今回ご紹介する『ラフロイグ セレクトカスク』は10年の個性をマイルドにして、甘みが加わっている為、『初めてラフロイグ飲むけれど大丈夫かな?』といった方でも十分楽しめると思います。
アイラ系は『ピーティー』とよく表現されますが、同じ表現をされる『アードベッグ』や『ボウモア』等とは似ていて非なるものです。一言で分類するとすると、アードベックはスモーキーさ、ボウモアは爽やかな潮を感じるスモークさ、ラフロイグは潮を感じる磯と苔さ、といった感じでしょうか。
使用されるピートは海の近くに位置する蒸留所近くで採れるものを使用します。他の銘柄と比較して海藻を多く含んだピートボグを使用する為、本銘柄の特徴となっている磯っぽい独特のフレーバーとなります。
優しい潮とヨード香の中にスモーキーさを感じ、テイストはまず口に含むと果物のような甘さの後にピートさ、そして磯な感じがやってきます。果実感はシェリー樽の原酒を混ぜている為と思われます。ブレンド後アメリカンオーク樽で後熟している為、その他違うバックグラウンドの原酒を複数ブレンドしていますが、調和がとれた完成度の高いウイスキーとなっています。
前述の通り、『ラフロイグ』は王室御用達のブランドであり、皇太子の紋章がラベルに印字されています。特にチャールズ皇太子が愛しているブランドをお手頃価格で楽しめるのも『セレクトカスク』の魅力かもしれませんね。
ラフロイグ蒸留所について
引用元:Vinspire (vinspireuk.com)
ラフロイグ蒸留所はアイラ島の南に位置し、アードベッグ蒸留所、ラガヴーリン蒸留所が近くにあります。
蒸留所の建物もそこから見える景色も美しく、将来はこの地でのんびりウイスキー片手に読書して過ごしたいなぁと思える位です。フロアモルティングを行う数少ない蒸留所の一つであり、その光景もまた情緒的です。
蒸留所は1815年にドナルドとアレクサンダーの兄弟によって設立され1954年までファミリー経営がされていました。1954年頃、ラフロイグの販売権はラガヴーリン蒸留所に勤めるピーターが持っていましたが、一族の最後の末裔であるイアンが販権を無理やり奪取します。怒ったピーターは、『ラフロイグと同じウイスキーを造ってやる』と蒸留所を設立します。これが、モルトミル蒸留所です。※モルトミル蒸留所は1962年に閉鎖
イアンの死後、ラフロイグ蒸留所は彼の右腕的存在のベッシーに引き継がれます。当時では珍しい、女性蒸留所所長でこの当時にラフロイグは大きく飛躍します。そして、その後様々なオーナーを経て、現在はビームサントリーがオーナーとなっています。
テイスティング
■ストレート
潮の香りの中に、ラフロイグらしい少し癖のあるピートを感じます。口に含むと優しい甘さの後、ピート感とピートやヨードとは一括りに表現できない磯感がきます。いや~飲む香水ですわ。
■少量の加水
より果実のような甘さが強調され、飲みやすくなりました。磯感も優しい感じです。香りは若干薬品感が出てきます。最後はキレの良さを感じます。
■トワイスアップ
薬品の様な香りは弱くなり、優しい甘い香りがします。もはや、『あおさのお吸い物』。
■ロック
スモーキーさと磯や苔感が全面にきます。飾らない感じがいいですね。完全に個人的ですが、じいちゃんを思い出します。海の近くに家があり、海から採った生ガキを食べてカンピロバクターになってたエピソードです。
■ハイボール
ん!美味しい。ボウモアを磯っぽくした感じです。ボウモアとはまた違った、個性があって進みます。おかわり!
以上、本日は『アイラの王』である『ラフロイグ セレクトカスク』について見てきました。アイラと一括りに言っても、それぞれに個性があっていいですね。