【1】ポートシャーロット10年がどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
ボトルから受ける印象と飲んだ時の印象が、良い意味でギャップがある、『ポートシャーロット10年』。爽やかなスモーキーさとしっかりとした甘さがここまで仲良くなれるのかと、驚かされる銘柄です。それでは、見て飲んでいきましょう。
ポートシャーロット10年について
アイラシングルモルトウイスキーに分類される、『ポートシャーロット10年』。見た目のボトルイメージはスタイリッシュ、且つ近寄り難いイメージを持ってしまいますが、テイストは非常に繊細かつ多彩で、アイラモルトの中では最も、複雑さを兼ね備えている銘柄の一つです。
ピートの炊き込み量を表す、いわゆるフェノール値は40ppmであり、ヘビーピートなウイスキーとなります。(ラガヴーリン位)一方、口に含むとピートが全面に来るのではなく、島のウイスキーらしい潮感とともに大麦の甘みと樽由来のバニラやカラメルの甘みがあります。驚くのは、このピートと甘さの振れ幅の大きさと、それでいて、調和が取れているバランスの良さです。この特徴は他のアイラウイスキーには見られない魅力です。
更に、甘さだけでなく、青りんごのような果実感、生姜やクローブのようなスパイスさ等も含まれており、味わえば味わう程、新たな味に出会えます。皆さんはどんな味に出会えるでしょうか。
ブルックラディ蒸留所について
引用元:Bruichladdich Distillery - Whisky.com
本銘柄は、ブルックラディ蒸留所で造られています。ブルックラディ蒸留所は、1881年に創業を開始しましたが、需要の低迷や財務状況不振により、オーナーが何度も入れ替わり、休業していた期間の方が長い状況でした。
そこから大きく本蒸留所が躍進した契機は、元ボウモアのマネージャーを務めたジム・マッキューワン氏が製造責任者に就任したことであり、大きく改革と多数のファンを生み出していきます。日本国内にもかつて何度も来日されていたのでご存じの方もおられるのではないかと思います。
ブルックラディ蒸留所は『アイラ産であること』に重点を置いており、原則全てをアイラ島で行うことを目指しています。その一例が原料となる大麦のアイラ島産へのこだわりであり、当時アイラ島では大麦は殆ど栽培されていませんでしたが、努力を重ね、約半数はアイラ島産で賄えるようになりました。
しかし、ここで終わらないのがブルックラディ蒸留所。近年フロアモルティングを行う蒸留所は減少傾向にある中、フロアモルティングを行っていきたいと製麦場の建設が進められており、今後も目が離せない蒸留所の1つとなっています。おそらく今後も面白い銘柄が沢山生み出されてくることでしょう!
テイスティング
ストレート、またはハイボールがお勧めです。ストレートで飲むことによって、本銘柄の複数の甘さと、その他の多数の要素を存分に楽しめます。また、ハイボールの美味しさにも感動されると思います。
■ストレート
香りは、多くのピートが焚き込まれている割には、そこまで強烈でなく、潮感に大麦の優しめの甘さと、樽由来のバニラやカラメル系の甘さを感じます。
テイストは人によって感じるものが異なってきそうですが、要素としては、『大麦の甘さ』、『樽由来の少し濃厚な甘さ』、『ピート感』、『クローブや生姜』、『青りんご』『柑橘』は少なくとも私は感じ取れます。それ位複雑な味が折り重なっています。一方で、それらがばらばらでなく甘さが全部を取りまとめている印象を受けます。ストレートすごく美味しいです。
■少量の加水
香りは、潮感の主張が強くなる印象です。加水することで、味の複雑さが少し単調になったと感じます。要因として、辛さの主張が強くなった為かと。
■トワイスアップ
甘さがよりマイルドで美味しいです。一方で加水すればするほど、一般的なアイラウイスキーが持っている共通のテイストに近づいていくので、本銘柄を楽しむという観点では物足りなさを感じます。アルコール度数50%あるので、トワイスアップでも十分味は整っています。
■ロック
香りは若干フレッシュさが前に出てくる印象です。テイストは潮感、苔感、甘さ、辛さとストレートと比較すると単調になり、少し苦味も感じます。
■ハイボール
これは言葉で表現できない美味しさです。煙たくもあり、甘さが際立つハイボールです。
以上、本日は『ポートシャーロット10年』について、見て飲んで見ました。スモーキーさと甘さのコントラストとコラボレーション、そしてその他の味の多彩さを存分に楽しめる銘柄です。