【1】カリラ12年がどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
国内において知名度はそこまで高くないですが、おそらく多くの方が認識せず一度は本蒸留所のウイスキーを口にしたことがあります。実は、ジョニーウォーカーや他のスコッチブレンデッドウイスキーの多くにブレンドされています。本日は、そんな蒸留が造る、バランスに優れた銘柄『カリラ12年』について見て、飲んでいきたいと思います。
カリラ12年について
『バランスに優れた、古典的アイラモルトウイスキー』。良く、本銘柄を説明される際に言われるフレーズです。バランスとは具体的には、スモーキーで、スイートでそしてスパイシーの配分を意味し、この違う要素のテイストが自然な感じで調和されています。
バランスに優れている為、人によっては『個性が少ない』と表現されることもあります。確かに、何かのテイストに大きく傾斜しているわけでは無い為、一見本銘柄の良さが分かりにくいかも知れませんが、『クライヌリッシュ』のアイラ版というべき銘柄で、アイラモルトの魅力を本銘柄1本で全て堪能できる香りとテイストの多彩さを持っています。
口に含むと、島のウイスキーらしい潮感と優しいヨード感が漂います。やがて、麦の甘さが加わり、最後はスパイシー。そして本銘柄の特徴である焚火の灰を少量口に含んだかのような感覚が長く続きます。どのテイストも全て優しい感じでやってくるので、個性は多分にありながら、アイラの中では飲みやすい銘柄になっています。個人的には飾らないボトルのデザインも、『良いものは流行りに乗ったりしない』と主張しているようで気に入っています。
カリラ蒸留所について
引用元:Caol Ila Distillery - Whisky Cyclist (weebly.com)
国内において、アイラモルトウイスキーと言えば、『ラフロイグ』や『アードベッグ』を挙げる方が多く、『カリラ』をイメージされる方は少ないのではないかと思います。しかし、蒸留所における生産能力は圧倒的にカリラ蒸留所が大きく、消費量も多いです。ラフロイグ蒸留所はカリラ蒸留所の約1/2の生産能力、アードベッグ蒸留所は約1/3になります。
それでは、大きく生産能力(=消費量)が違うのになぜカリラの知名度は低いのでしょうか。その要因は、2002年位までシングルモルトはほぼ生産しておらず、ブレンド用とし生産してきた背景があります。
その他の蒸留所はシングルモルトとしての独自の個性を磨くべく、酒質を重くしたり、ピートやヨードに強烈な特徴を持たせてきたのに対して、本蒸留所は軽く、シンプルさを追求してきました。その傾向は『カリラ12年』に良く表れており、飲みやすいアイラモルトウイスキーとなっています。
カリラ蒸留所がシングルモルトを世にリリースしたのは、2002年であり、『カリラ12年』、『カリラ18年』、『ヒドゥンモルトシリーズ』の3種類です。これを契機に世界で人気がでました。
蒸留所は、ジュラ島が見える位置に建設されており、そこから見える景色は圧巻のようです。(日頃の行いが悪いのか、私が訪問した際は霧みたいなのがかかっており、綺麗に見たことはないですが)。
テイスティング
個人的には、ストレート⇒少量の加水⇒トワイスアップで味の変化を楽しむのがお勧めです。
■ストレート
香りは、軽いピート香と、潮風を感じます。かすかにヨードの感じもあります。蒸留所から見える景色にふさわしい多彩で繊細な香りです。(霧がかかった様子しか見たことないですが)
テイストは穀物由来のやさしい甘さとスモーキーさと潮感があり、そしてピリッときます。最後は灰のような味わいが余韻で残ります。いや~多彩で繊細で軽くて飲みやすい。
■少量の加水
一気に印象が変わります。軽く繊細で飲みやすいのは同じなのですが、味の中心がスモークと潮感になります。ストレートから、途中で加水というスタイルがよいかも。
■トワイスアップ
甘さとヨード感が味の中心になりました。ストレートからのこの流れとても楽しいです。流石、ブレンデッドで使用されている理由が分かります。酒質は軽いのにボディは崩れにくい。
■ロック
穀物の甘さと潮感が味の中心になります。しかもまったりしているので飲みやすい。余韻はヨード系の苔感が続きます。これはこれ捨てがたい。
■ハイボール
甘くて、やさしくスモーキーで美味しいです。ただ、これがなんの銘柄か当ててみて、と質問された場合に『カリラ』と答えられる自信はないです。他のアイラ系との特段の違いは分かりにくいです。
以上、本日はアイラシングルモルトの魅力を堪能する上で欠かせない銘柄、『カリラ12年』について見て、飲んで見ました。アイラの良さが、詰まった素晴らしき銘柄です。