ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【ジャパニーズ】宮城峡を飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】宮城峡がどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 華やかで飲みやすいと言われる『宮城峡』。確かに華やかではありますが、単に華やかではなく、渋みやピートも合わさった複雑系ジャパニーズウイスキーです。飲めば飲む程、その複雑さに魅了されます。また、どのような飲み方にも対応できる魅力を持っている銘柄です。それでは、飲んでいきましょう。

 

宮城峡について

シングルモルト 宮城峡 [ ウイスキー 日本 700ml ]

 ニッカウヰスキー創業者の竹鶴氏が、スコットランドのスペイサイドやローランドの華やかなウイスキーを目指して造った銘柄になります。

 目指したのはスコッチの華やかなウイスキーですが、日本人の舌の感覚により合うように繊細で、且つテイストの幅が広く深いように造られています。もはや、スコッチの模倣ではなく、新たなジャパニーズのジャンルとしての地位を築いている銘柄です。  

 しかし、気を付けて頂きたいのは、華やかで飲みやすい銘柄、例えば『グレンリベット』等をイメージしている場合、イメージと実際のテイストには大きなギャップが生じてしまい、『想像していたウイスキーと違った』となりやすい銘柄かと思います。

 香りは、バ二ラやクリームの中に、シトラス系の爽やかさと青りんごのようなフルーティーさが感じ取れます。一方、テイストは香りから感じ取れるものよりも、かなり多重層であり、干しブドウや紅茶、ブドウの皮の渋みや、粉ミルクのようなテイスト等が少し強めのアルコールと共に押し寄せてきます。そして最後に軽めで、ニッカらしい独特なピートで締まります。

 ジャパニーズ好きで、華やか且つ複雑系(若干のピートを含む)を好まれる方は、是非一度飲んで見る価値がある、実力派銘柄です。ストレートからハイボールまで守備範囲が広いのも本銘柄の魅力です。比較的ジャパニーズの中でも購入しやすい傾向にはあるので、是非この機会にどうぞ。

宮城峡蒸留所について

引用元:Destilería de whisky Nikka en Miyagikyo | Travel Japan (Organización Nacional de Turismo de Japón)

 創業は1969年であり、ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴氏が、スコッチの中でも華やかなウイスキーが多い、ローランドやハイランド系のウイスキーを目指して造った蒸留所になります。

 場所は宮城県仙台市に位置し、竹鶴氏が華やかで酒質の軽いウイスキー造りに適した水が確保できる場所として選定しました。既に稼働していた『余市蒸留所』は力強く、ピートの効いたウイスキーを目指して造った蒸留所に対して、宮城峡蒸留所は繊細なウイスキーを目指して造られた為、同じニッカウヰスキーが保有する蒸留所ですが、全くウイスキーの作り方が異なります。

 余市蒸留所と比較して、酒質が軽くなるように大きめのポットスチルを採用しており、繊細な味わいになるように、ポットスチルを加熱する際には、直火で行う余市蒸留所と異なる形式である、スチームで熱する間接加熱法を採用しています。是非、余市蒸留所が造るウイスキーと飲み比べて、ゆったりと大人の時間を満喫してみてください。

引用元:Destilería de whisky Nikka en Miyagikyo | Travel Japan (Organización Nacional de Turismo de Japón)

テイスティング

 流石、実力派ジャパニーズです。ストレートからハイボールまでどのような飲み方でも楽しめます。また、飲み方によって楽しめるテイストが異なってくるのも魅力です。

 

■ストレート

 香りは、バ二ラやクリームの中に、シトラス系の爽やかさと軽い青りんごのようなフルーティーさがあります。テイストは多重層であり、干しブドウや紅茶、ブドウの皮の渋みや、粉ミルクや渋柿?のようなテイストが少し強めのアルコールと共に押し寄せてきます。そして最後にニッカらしい独特なピートで締まります。

 人によって感じ方は異なると思いますが、想像以上に私はピートを感じます。ニッカらしい、独特な、若干粉っぽいピートを。

 

■少量の加水

 加水する事で、フルーティーさが増してきます。より、青りんごの香りが前に出てきます。テイストは、ストレートのテイストをベースにモルト感が強くなると共に、ピート香も強くなってきます。

 私は、本銘柄を『華やかで飲みやすいと』と前面に説明している媒体は罪深いなあと思います。良く、宮城峡を買って失敗したというレビューを拝見しますが、それは本銘柄はハイランドやローランドのウイスキーとは別ジャンルであるという点が上手く伝わっておらず、ミスマッチが起きてしまっていると思います。それさえ理解した上で、購入すれば非常に複雑で美味しい優秀な銘柄と思います。

 

■トワイスアップ

 青りんご度合いが更に強まります。大分、飲みやすく且つ、香りも楽しめます。

 

■ロック

 ストレートと比較して、モルトの甘みが増し、ピートも強調されます。ピートに含まれるであろう硫黄が少々顔を出してきました。癖は少しあります。 

 

■ハイボール

 青りんごの爽やかさが主体となったハイボールです。爽やかで非常に爽快です。またピート感はハイボールのキレに変換されており、メリハリの効いた飲み心地です。とても美味しい。

 

 以上、本日はジャパニーズウイスキーの代表的銘柄の一つである、『宮城峡』について、飲んで見ました。広く深い味わいを存分に楽しめる銘柄です。是非、ゆったりと本銘柄を楽しんでみてください。