【1】オールドパー12年がどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
昔から日本において高級ウイスキーの代名詞的存在である、『オールドパー12年』。フルーティーな味わいの中に優しくピートも感じるバランスの取れた上品な銘柄です。食中酒としてのポテンシャルも高く、シーンを選ばず楽しめます。それでは、見て飲んでいきましょう。
オールドパー12年について
本銘柄はスコッチブレンデッドウイスキーに分類され、スペイサイドの華やかな『クラガンモア』をキーモルトとしています。
日本人と『オールドパー』との出会いは深く、1873年に岩倉使節団が欧米訪問時に『オールドパー』を持ち帰ったと言われております。日本でのウイスキー普及期においては、アイラ系のピートが効いたウイスキーよりもスペイサイド系の華やかなウイスキーが好まれる傾向にあった為、徐々に本銘柄は日本に浸透していき、高級ウイスキーへと認知されるようになります。しかし、その当時は政治家等のほんの一部の層が好む(飲める)ウイスキーでした。また、本銘柄は、国産ウイスキーである『サントリーオールド』のリリース等にも影響を及ぼしたとされています。
香りの特徴としては、うっすらカラメルが焦げた感覚の中に洋ナシやアプリコット、そしてドライフルーツの香りで、華やかな傾向です。アルコールの刺激感は少ないです。ピート香、牧草感もかすかに感じます。テイストについては、上品でモルト由来の甘みにドライフルーツとフレッシュな果実を感じた後に、最後のピートですっきりした味わいです。
記憶が正しければ、昔の『オールドパー12年』はもう少し、アプリコット風味が強い感じがあったと記憶していますが、少しその感覚が抑えられて、フレッシュな果実感が増しているように感じます。また、ピートについても、過去と比較すると若干強めな印象を持ちます。
本銘柄は、加水によりポテンシャルを最大限に発揮する事ができます。加水により、上品な華やかさが開花する為、水割り、お湯割り、ハイボール等で楽しむのがお勧めです。華やかですが、食事等を邪魔しない上品さを兼ね備えている為、是非食中酒としてお楽しみください。流石、長年日本人に愛されてきた銘柄です。
クラガンモア蒸留所について(キーモルト)
引用元:404 - Whisky.com
クラガンモア蒸留所は1869年にジョン・スミス氏によって製造を開始しました。ジョン氏はマッカランやグレンリベット等の名だたる蒸留所で経験を積んだ後に創業しており、他蒸留所を含むウイスキー造りに熟知していたということです。
日本において、『クラガンモア』の知名度が高い訳ではなく、ウイスキーにある程度親しんでいる方でないとご存じないかと思います。その理由は、本蒸留所で造られるウイスキーの殆どは『オールドパー』のキーモルトであり、且つ蒸留所の規模は大きくない為です。更に、オールドパーの主要マーケットはイギリスと日本や一部のアジア地域でしたが、近年、他の地域でも人気が高まってきており、原酒が不足気味の傾向にあるそうです。
ウイスキー造りでの特徴は、蒸留時間が他の蒸留所と比較して短く、またポットスチル形状も比較的、ウイスキーの複雑さが生み出されるようになっている点です。この特徴はオールドパーでも大いに実感できる点となっています。
市場に出回る数量は少ないですが、複雑なスイートと多彩な華やかさを味わえる『クラガンモア12年』は魅力的な銘柄となっています。少々、ボディが弱い弱点はありますが、少し特徴のある華やかな銘柄を求めている方にはお勧めです。
テイスティング
どの飲み方もそれぞれに特徴があって楽しめるのですが、本銘柄の華やかでフルーティ、そして食事にも合うという特徴を発揮できるのは、ハイボール/水割り/お湯割りかなと感じます。
■ストレート
前述の通り、うっすらカラメルが焦げた感覚の中に洋ナシやアプリコット、そしてドライフルーツの香りを感じます。アルコールの刺激感は殆どなく、ブレンデッドの良い特徴が凝縮されている感じがします。ピート香、牧草感もかすかに感じます。
テイストについては、上品でモルト由来の甘みにドライフルーツとフレッシュな果実を感じた後に、最後のピートですっきりした味わいになっています。最後のピート感ですが、少し特徴的で、私には若干粉っぽさを感じます。ストレートでも十分楽しめますし、ブレンデッドでは複雑テイストの部類と思われます。
■少量の加水
香りは少量の加水でも立って来たことが分かります。テイストも華やかに傾斜し、飲みやすくなりました。キーモルトのクラガンモアが持つスパイスさも顔を出してきた気がします。
■トワイスアップ
トワイスアップ以上の加水量ですと、流石に香りは弱くなりますが、飲み口は非常に滑らかで優しく、ほんのりとした甘みが心地よいです。食事にも合います。食事の邪魔はしないのですが、余韻は十分にあります。高級ウイスキーと親しまれてきた理由が分かります。
■ロック
香りはドライフルーツ感が強調されたように思います。テイストに関しては、アルコールの辛味とピートの苦味等が出てきました。フルーティーさを求めて本銘柄を購入されたのであれば、お勧めの飲み方にはならないと思います。
■ハイボール
モルトの甘み、フルーツの甘み、ドライフルーツの甘みを優しく全て感じますが、どの甘みも軽やかでそして滑らかです。余韻も長く、ドライフルーツ系の余韻とピートが奥行きを作っています。水割りと同じ位、本銘柄の良さが良く分かります。上品です。
以上、本日は長年日本人に愛されてきた『オールドパーシリーズ』について見て、飲んで見ました。
私がウイスキーと初めて出会ったのはオールドパーでした。祖父が良く飲んでおり、『ウイスキーっていう、怖いおじさんが描かれたお酒があるんだな』と思ったのを記憶しています。そんな今、おじさんを怖いと思うどころか、かわいいなと思いながら愛飲している銘柄です。良いものはこうやって受け継がれていくんですね。