ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【台湾】カバラン(KAVALAN)ディスティラリーセレクトNo.1を飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】カバラン(KAVALAN)ディスティラリーセレクトNo.1がどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 今回は、世界的な注目が集まっている台湾で造られるウイスキー『カバラン(KAVALAN)』シリーズ。その中でも、エントリーモデルの『カバラン ディスティラリーセレクトNo.1』について見ていきます。No1.は南国カバランらしい、トロピカルなテイストが中心の飲みやすい銘柄です。

 

カバラン ディスティラリーセレクトNo.1について

カバラン ディスティラリーセレクトNo.1 700ml 箱付き 【厳選した樽と熟練の技が光る1本】 Kavalan Distillery Select No. 1 正規品 箱付き

 

 カバラン(KAVALAN)は、台湾にあるカバラン蒸留所で造られるウイスキーです。ウイスキーにおいては、代表的な生産地で造られるウイスキーを5大ウイスキー(スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズ、アメリカン、カナディアン)と区分されます。今回ご紹介する台湾ウイスキーは5大ウイスキーではないですが、5大ウイスキーに匹敵する知名度と評価を近年獲得してきており、ウイスキー市場を沸かせています。

 台湾ウイスキーを牽引するのは間違いなく、カバラン蒸留所が手掛ける銘柄です。台湾の亜熱帯気候らしい、トロピカルで深みのあるテイストが主軸にあり、飲みやすく深みのある味わいの為、多くの人を魅了しています。

 カバラン蒸留所からリリースされる銘柄は、ラインアップが多く、比較的高価な価格帯が多い為、どの銘柄を選べばよいのか迷われるのではないかと想像します。その場合は、『カバラン ディスティラリーセレクト』をまずはお勧めします。

『ディスティラリーセレクト』にはNo.1とNo.2があります。No.1はよりトロピカルなカバランの特徴を反映させたボトルになります。使用する熟成樽はバーボンに加え、シェリー等が使用されているとの事。No.2はバーボン樽のみの使用であり、より万人受けしやすいような味わいです。

 No.1においては、カバラン等の亜熱帯気候で熟成されるお酒に触れるきっかけとして、とても良い銘柄だと思います。エントリーモデルですので、飲みやすさはNo.2同様兼ね備えていますが、バナナやパイナップル、マンゴーと言ったフルーツを連想する香りと、柔らかな甘みある味わいが特徴です。短期間で深く熟成される為、アルコールの刺激も少なく、まろやかな舌触りです。

 エントリーモデルでこの完成度ですので、ここから色々とカバラン蒸留所銘柄を試していくと、より本蒸留所のレベルの高さに驚かれると思います。銘柄名はコンサートに関連したものが多いのですが、まさに芸術的な作品です。

 

カバラン蒸留所について

引用元:A Visit to King Car Kavalan Distillery in Yilan, Taiwan - WhiskyGeeks

 本蒸留所を所有するのは台湾の大手飲料メーカーの金車グループであり、2008年に蒸留を開始した、歴史的には浅い蒸留所になります。一方で、世界的な知名度と評価は高く、世界の名立たるコンペティションで受賞をしています。

 ウイスキー造りで最も有名な地域である、スコットランドの気候は比較的安定しており、安定した気候で10年以上熟成させることがウイスキー造りにおいては一般的です。一方で、台湾の気候は亜熱帯であり、気温差も激しい為、完全なるスコットランド形式でのウイスキー造りは難しいとされてきました。

 しかし、金車グループはスコットランドに加え、日本でのウイスキー造りを研究し、伝統的手法を取り入れると共に、自社のバイオ事業の経験を活かし、ウイスキー用の酵母を独自で開発、台湾の気候に合った熟成方法を探索します。特に、熟成においては、気候の寒暖差が大きい為、スコットランドと比較し、概ね1/4程度の短期熟成にて仕上げているのが特徴です。特に、短期熟成においては、安定した質の担保等が難しいとされていますが、最新技術とバイオの知見を活かしてコントロールしています。

 その結果、本蒸留所がリリースする銘柄は南国フルーツの様なトロピカルな風味と、深みのあるテイストがベースになっており、飲みやすく、多くの人を魅了しています。


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テイスティング

 ストレート、ロック、ハイボール辺りがお勧めです。持ち前の南国感を味わえます。一方、加水には弱いと思います。

 

■ストレート

 香りについては、トロピカルフルーツを連想する内容です。熟したバナナ、パインやマンゴー。その他、樽由来のレーズンやバニラ感も持っています。ただ、最後は爽快感があるので重すぎない感じです。

 テイストについては、パインの甘酸っぱいジュースの様な印象を受けつつ、後半はビター。余韻もよいです。完成度が高く、銘柄のコンセプトも分かりやすいです。

 このウイスキーとの出会いから、ウイスキーを好きになる方も多いのではないかと思わせる魅力です。

 

■少量の加水

 ストレートと大きく変化はしないように思いますが、全体的なトーンは少し上がる印象です。熟成年数の短さがほんの少し垣間見える所もあるので、私はストレートの方が好みです。

 

■トワイスアップ

 全体的にぼやけます。ストレートでの完成度が高く、コンセプトも明確ですので、あえて加水するメリットは無いように思います。

 

■ロック

 美味しいです。本銘柄が持つビターさの割合が高くなりますが、前半のパイン系のフルーツの甘みと濃さがあるので、緩急が良いです。

 

■ハイボール

 ハイボールでも、爽快な南国フルーツ感が楽しめるので、魅力的です。食事とは少し合わせにくいですが、デザートとしては最高の味わいです。

 

 以上、本日は南国で造られたホットなウイスキー、カバランディスティラリーセレクトNo.1でした。飲みやすく、分かりやすいコンセプトですので、多くの方に刺さる銘柄だと思います。

 
 また、少し南国感を押さえたいのであれば、No.2がお勧めです。バニラ感が強くなるので、より飲みやすくなります。No.2も完成度が高い、良い銘柄です。