ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【ジャパニーズ】富士山麓 シグニチャーブレンドを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】富士山麓 シグニチャーブレンドがどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 本日は、丁寧にバーボン樽の旨味が引き出された、本格的ジャパニーズウイスー、『富士山麓 シグニチャーブレンド』について見て飲んでいきます。世界で評価されている理由が理解できる銘柄です。

 

富士山麓 シグニチャーブレンドについて

[ギフト] キリン 富士山麓 シグネチャーブレンド 箱付き 50度 700ml

 本銘柄はジャパニーズブレンデッドウイスキーに分類され、ジャパニーズの中でもボディがしっかりしており、且つ樽による熟成感を深く味わえます。『富士山麓シリーズ』は今まで複数リリースされてきましたが、2023年現在、正規にメーカーから販売されているのは、本銘柄のみとなっています。

 『富士山麓 シグニチャーブレンド』は2017年より販売開始された比較的新しい銘柄です。現在では終売となっていますが、以下の『富士山麓 樽熟原酒50°』が2019年まで販売されており、当時はその上位銘柄として『シグニチャーブレンド』が位置づけられていました。

 

 『富士山麓 樽熟原酒50°』は、熟成感とボディのバランスが良い優秀な銘柄でしたが、この熟成感をより追求したのが『シグニチャーブレンド』になります。ジャパニーズでバーボン樽のバニラ香と果実香をここまで存分に引き出せている銘柄は他に無いのではないかと思う位に、完成度の高い銘柄です。その主な理由は使用する樽の大きさへのこだわりと、熟成ピークを見極める企業努力が大きく寄与していると思われます。近年、個性が少ない銘柄が増えてきているジャパニーズのカテゴリーにおいて、しっかりとした個性と上品さを兼ね備えています。

 本銘柄の特徴として、香りは洋ナシやパイナップルが熟した様な果実香の奥に、バニラや少しビターなオレンジピール感を感じます。

 テイストにおいて、まずはアルコール度数が50度もあるとは全く思わない位に滑らかな点に驚きます。この滑らかさに乗るように、パイナップルの様なトロピカルな感じと、後半は若干のスパイシーさとメイプルのような優しい甘さが余韻の奥行を作り出しています。(ほんの少しピートも感じます)

 この銘柄は、言葉では表現しきれない位に完成度が高く、満足のいく1本です。一度飲んで頂ければ良さが存分に理解できると思います。決して安い銘柄ではないですが、高騰しているジャパニーズの中では、コスパも良いと思います。

 

富士御殿場蒸留所について

引用元:Fuji Gotemba Distillery - Whisky.com

 富士御殿場蒸留所はキリンビール社が保有する静岡県に位置する蒸留所になります。生産開始時期は1973年であり、比較的新しい蒸留所です。

 現在ではキリンビール社が保有していますが、生産当初はシーバルリーガルで有名なシーバスブラザース社、その親会社のシーグラム社、キリンビール社が出資して作ったキリン・シーグラム社によって操業を開始しました。

 シーバスブラザース社はスコットランドの会社であり、モルトウイスキー造りとブレンドの高い技術を保有しており、シーグラム社はカナダで長年グレーンウイスキー造りを行っており、グレーンウイスキー製造の高い技術を保有していました。それらの技術の融合と、キリンビール社としてのこだわりを掛け合わせる形で今の御殿場蒸留所があります。キリンビール社のこだわりは多数ございますが、特に特徴的なのが熟成樽の大きさとグレーンウイスキーの造り分けになります。

 熟成樽については、バーボンバレル(ウイスキー樽の熟成の中では最も小さいサイズに分類される)を使用し、その中でも一番小さいサイズの180㍑を選択しています。バーボン樽の容積は180㍑~200㍑位の大きさが一般的ですが、180㍑を選択することで、ウイスキーと樽の接地面積が増え、フルーティー且つ、バニラ香をしっかり持つウイスキーに仕上がる傾向にあります。(しっかりとした温度管理と熟成時期を見極めないと苦味等の原因に繋がりやすいので扱いは容易ではない)

 グレーンウイスキーについては、ライトタイプ、ミディアムタイプ、ヘビータイプを造り分けて、組み合わせる事でグレーンウイスキーにも個性を持たせるこだわりを持っています。造り分ける際にも、グレーンウイスキーでは特殊な蒸留釜を使用したりと、グレーンウイスキーに対する本気度が伺えます。

 

テイスティング

 ボディがしっかりしているので、どのような飲み方でも対応でき、本銘柄が持つバーボン樽由来の深い熟成感を味わえます。個人的にはストレートかハイボールが好きです。

 

■ストレート

 香りは前述の通り、バーボン樽の深い熟成香が中心となります。洋ナシとパイナップル系の果実感があり、後半に若干大人の柑橘系なビターさを感じます。しかし、ブレンデッドということもあり、グレーン系のフレッシュさも感じます。

 テイストは、パイナップル感が中心となりますが、どことなくフレッシュな洋ナシ感もあります。最後は若干スパイシーさを感じつつ、メープルのような優しめの甘さが余韻を作っています。ブレンドされているグレーンウイスキーも独自の甘みを持っている事が伺えます。ストレートでここまで飲みやすいのは驚きですし、これがアルコール度数50度とは到底思えない、驚異的飲みやすさです。

 

■少量の加水

 富士山麓シリーズ全般に言えますが、加水することでフレッシュさが開花してきて香り立ちが良くなります。その分スパイシーさも強調されるのでウイスキーとしてのコントラストがより付いていきます。

 

■トワイスアップ

 樽香が強調されるようになります。テイストは甘みがメインで残り、それ以外は削ぎ落される感覚です。バーボン樽の甘さとグレーンとシングルモルトの両方の違う甘さが共存しています。

 

■ロック

 今までの飲み方では大半が果実の甘みでしたが、冷やすことでビターメインのウイスキーになりました。香りは抑えられてはいるのですが、ロックの中では香りも甘みも十分楽しめます。少々、アルコールの辛味と樽の渋みが加わるように思います。

 

■ハイボール

 美味しいです。口に含むとメープルのような甘みの後、炭酸が弾けるのに合わせて果実香がふわっときます。食中酒としては微妙ですが、食後、食前としては非常に満足できる1杯となります。

 

 以上、本日は『富士山麓 シグニチャーブレンド』を飲むでした。甘め、華やかなウイスキー好きの方は、是非必見です。

 
 また、本銘柄がお好きな方は『SCAPAスキレン』もお勧めです!