【1】ブナハーブン トチェック アガーがどのようなウイスキーか理解できる
【2】各種飲み方でのレビューが分かる
アイラ島のウイスキーとしては珍しく、ノンピートで有名な『ブナハーブン』。しかし、本銘柄はピートを効かせた、国内ではあまり流通されていない銘柄となります。それでは、ブナハーブンの魅力を持ちながら、ピートも楽しめる本銘柄を見て、飲んでいきたいと思います。
ブナハーブン トチェック アガーについて
キルホーマン蒸留所ができるまでは、アイラ島の中では最も新しい蒸留所で造られていた『ブナハーブンシリーズ』。アイラ島ではめずらしく、製造されるウイスキーの約70%がノンピートの麦芽で仕込まれています。
しかし、本蒸留所の約30%程は実はピート系のウイスキーであり、その一つが、本銘柄の『ブナハーブン トチェック アガー』になります。本銘柄のピートの炊き込み量はラガヴーリンやカリラと同程度(フェノール値35ppmあたり)であり、そこそこピートを感じる銘柄です。また、ピートに関するテイストは、カリラに似たスモーキーな味わいの後、少し時間差でラフロイグ系のヨード感が軽めにやってきます。
とはいえ、ベースとなるテイストと香りは、『ブナハーブン』の主な特徴を踏襲しており、全体としてはスイートな味わいがベースです。加えて、その中に複雑な味わいが折り重なっています。香りは加水すれば、フルーティーさが開花します。
熟成はバーボン樽がメインですが、シェリー樽も使用しており、シェリーの特徴も十分に感じ取れます。シェリー系が好きで、ピート系も良く飲む方には特にお勧めです。シェリー系といってもそこまで重くないので、飲みやすいと思います。
ブナハーブン蒸留所
引用元:Burn Stewart Distillers bought by Distell (thedrinksreport.com)
アイラ島の蒸留所の中では、キルホーマン蒸留所に次いで新しい『ブナハーブン蒸留所』。創業は1881年であり、ノンピートをメインで造る方針が決まったのが第二次世界大戦後となります。当時のブナハーブン蒸留所は、ブレンド用の原酒を製造することに徹しており、カティーサークの原酒として軽い酒質、且つノンピートが求められていた為です。
その後、モルトウイスキーブームの影響もあり、1998年頃からピート系のウイスキーの製造を開始します。その第一号が『モンニャ』と呼ばれる銘柄であり、その後の現在販売されている、ピート系の『ブナハーブン トチェック アガー』や『ブナハーブン クラックモナ』へと繋がっていきます。
引用元:Islay, Tag 5-7 - Franks gesammeltes Halbwissen (frankshalbwissen.de)
ブナハーブン蒸留所のポットスチル形状が特徴的であり、よくポットスチルは玉ねぎ方等表現されますが、『玉ねぎを潰したような形状?』をしています。
テイスティング
ストレート~トワイスアップまでの加水でゆったり飲むのがお勧めです。加水していくことで、香りが開いていきますので、変化を楽しめる銘柄です。
■ストレート
レーズンの様な香りに、若干インク?っぽい香りも感じます。加えて、潮、ハーブのようなすっとした感じもあります。テイストは、ドライフルーツとハーブが合わさったような優しく甘く、スッとした感じです。その後、カリラに近いような癖の少なめなスモーキーさと軽いラフロイグの様なヨードが感じ取れます。ブナハーブンシリーズ全般に言えますが、言葉で形容できない位複雑なテイストが折り重なっています。
■少量の加水
少量の加水でここまで、印象が変わって且つ魅力的になる銘柄は他にあるのだろうか?という位、前半のシェリー系の甘さが一気に開きます。加えて、麦本来の甘さも加わってくるので、より複雑な甘みが口に広がります。その他、ヨードもより魅力的になります。
■トワイスアップ
上記の加水の特徴を残したまま、より飲みやすくした感じです。ブナハーブンシリーズを楽しむ上で、加水は重要な要素です。
■ロック
ストレートを落ち着かせた味わいになります。悪くないのですが、見方によっては特徴が薄まった感じとなります。とはいえ、まったりとした甘さは魅力的です。
■ハイボール
飲みやすいヨード感じるハイボールとなります。美味しいです。
以上、本日はブナハーブン蒸留所が造る、ピート系銘柄『ブナハーブン トチェック アガー』について見て、飲んでみました。流通量が少なく、若干値が張りますが、ストレートや加水でゆったり楽しむウイスキーとしては大満足です。