ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【アメリカン】I.W.ハーパー12年を飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】I.W.ハーパー12年がどのようなウイスキーか理解できる

【2】各種飲み方でのレビューが分かる

 

 バブルを連想させるボトルに、超熟されたバーボンが詰められている『I.W.ハーパー12年』。他のバーボンと比較しても熟成期間が長い為、味に深みがあります。それでは本銘柄について見て、飲んでいきましょう。※残念ながら2022年中に製造中止

 

I.W.ハーパー12年について

 バーボンとしては最も熟成された銘柄の一つ。バーボンは新樽を使用し、且つ『チャー』と呼ばれる内側を焦がす事が義務付けられています。

 『チャー』が施されている事により、スコッチ等と比較して熟成が早く進みます。その為、一般的にバーボンを超熟させると、焦がした渋みや雑味がウイスキーに移り、あまり美味しくはならない傾向にあります。

 しかし、この『I.W.ハーパー12年』は違います。高度に温度管理がされており、樽の渋みを抑えながら熟成の深みを出すことに成功している、プレミアムな銘柄です。特に、蒸留所があるケンタッキー州では寒暖差が激しく、それにより頻繁にウイスキーが呼吸をして、樽の味わいを吸収していく環境下での、この深い味わいには、熟成スキルの高さが垣間見えます。

新樽の内側を焦がす様子

引用元:CENTRO HISTORICO RON BARCELO (San Pedro de Macoris) - 2022 Qué saber antes de ir - Lo más comentado por la gente - Tripadvisor
 また、他のバーボンと比較して原料のトウモロコシの比率が高く、優しいトウモロコシの甘さを楽しめるのも本銘柄の魅力です。それだけに、製造中止は残念でなりません。

 本銘柄が特に活きる飲み方は、ロックかハイボールではないかと個人的には思います。ロックではトウモロコシの甘さが全面に出てきますし、ハイボールだと爽やかな心地いいい甘味が口の中に広がります。

 

I.W.ハーパーの歴史について

引用元:I.W. Harper Bourbon – Dominici & Co Wholesale & Retail Dealers in Groceries, Hay & Grain – Richmond, VA | Fading Ad Blog HAS MOVED! (wordpress.com)

 I.W.ハーパーはドイツからアメリカに移民した、『アイザック・ウォルフ・バーンハイム』によって生み出されます。感の良い方でしたら、もうお気づきかもしれませんが、『I.W.ハーパー』の『I.W.』とは『アイザック・ウォルフ』の頭文字から付けられています。それでは、『ハーパー』とは何かというと、ハーパーはアイザックの親友の名前です。

 元々は、ウイスキーの販売業者を弟と営んで生計を立てていましたが、後にウイスキー造りに参入して、1877年には『I.W.ハーパー』の原型となる商品を販売します。当時はまだまだ粗悪なバーボンウイスキーが大半を占めていた中、アイザックは品質にこだわり続けます。その成果として、1885年のニューオリンズの万国博覧会を始め、数多くの博覧会で5つの金賞を受賞し、『ゴールドメダル』と名付けられるようになります。以下リンクの『ゴールドメダル』という名前はここから来ています。

 しかし、こだわったのは品質だけではありません。ブランディングについてもしっかり確実に行い、不動の地位を確立していきます。1949年にギフトアイテムとしてクリスタルデキャンタボトルを発売し、その後毎年新しいボトルをリリースしブームを巻き起こしていきます。現在のアードベッグに似た戦略ではないかと思います。

 そしてその後、上記写真の『シルクハット紳士』を用いて洗練された都会的なイメージを確立し、品質にこだわった、洗練されたウイスキーといえば『I.W.ハーパー』と誰もが連想する状況を作り上げました。当然、イメージ負けしない実力が備わった銘柄です。そしてその後、バーボンで超熟は意味がないと言われている中、超熟の『I.W.ハーパー12年』を発売し、世の常識を覆します。まろやかで上品な甘さは多くの人を魅了し、親しまれてきました。

 

テイスティング

 ロックかハイボールが、最もハーパーの優しい甘さを楽しめるのではないかと思います。それ以外の飲み方も、すべて合格点です。

 

■ストレート

 バーボンらしい木の香りとキレの良さを感じます。ただ、アルコールの刺激はそれほど強くはなく、飲みやすいストレートです。最後に甘さがふわ~っと広がります。

 

■少量の加水

 少し、渋さとアルコールの刺激が強くなった感覚を持ちます。ストレートと大分印象が違います。

 

■トワイスアップ

 あまーい!これは子供でも飲めるんじゃないかなと思います。寝る前には一番いい飲み方かも。※お酒は成人になってから。

 

■ロック

 ストレートと比較して、より滑らかにそしてはっきりした甘さといった感じです。個人的には一番好きな飲み方です。本当に製造中止になってしまうんですかね..動揺が隠し切れません。

 

■ハイボール

 ハーパーを使用したハイボールを『ハーパーハイボール』と言われています。つまり、特別な名前が付いている位、愛されている飲み方という事です。

 最初にバーボンらしい木の香りがぐっと口に広がった後、深く優しい甘さが来ます。そして少しの酸味と苦味。たまらんです。『I.W.ハーパー12年』でも『I.Wハーパーゴールドメダル』両方、同じ傾向の味わい(12年の方が深みがある)ですので是非試してみて下さい。

 

 以上、本日は『I.W.ハーパー12年』でした。製造中止は本当に悲しいですが、『ゴールドメダル』も上記テイスティング内容と同様の傾向の為、是非一度は試してみて下さい。