ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【スコッチ】アードベッグTENを飲む・特徴と各種飲み方・評価について

【1】アードベッグTENがどのようなウイスキーか分かる。

 

アードベッグとはTEN

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【情報】

・スコッチウイスキー

シングルモルト

・非常にスモーキーその中にバニラの様な香り

・人によっては正露丸

 ボトルからして、強烈な個性を持っていそうな気配がムンムンしている、アードベッグ。ワンピースをご存じの方でしたら、悪魔の実を連想される方もいそうな佇まいです。

 アードベッグスコットランドの中でも、アイラ島で造られているシングルモルトウイスキーであり、『アイラの中のアイラ』と言われるほど、世界的な賞を多く受賞しています。

 特徴はなんと言っても、ピート香とスモーキーフレーバーであり、その奥にバニラの様な香りと甘さが口いっぱいに広がります。

 強烈なスモーキーさは、麦芽に炊き込むピートの割合が、他のウイスキーと比較して多いことによるものです。具体的には、ピートの割合はppm(フェノール値)で数値化されますが、アードベッグは約55~60ppmです。比較的アイラ・モルトの中では中間に位置するボウモアが約20~25ppmですので、その多さをご理解いただけるのではと思います。また、仕込み水もピートで茶色に染まったウーガダール湖の水を使用しています。

 ただ、スモーキーさがあるだけでなく、蒸留工程にも拘りがあり、蒸留に使用されるポットスチルは背の高い物を使用し、且つ香りに影響を与えると言われるピューリファイという精留器をアイラ島の蒸留所の中では唯一使用しており、バニラの様な香りを持つウイスキーとなっています。

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 引用元:https://www.whisky.com/whisky-database/distilleries/details/ardbeg.html

 また、冷却ろ過をしていない為、ウイスキー本来の味をより楽しめるのではないでしょうか。(ノンチルフィルタード)。

アードベッグ蒸留所について

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引用元:https://www.whisky.com/whisky-database/distilleries/details/ardbeg.html

 アイラ島の最南端に、アードベッグ蒸留所、ラガヴーリン蒸留所、ラフロイグ蒸留所の3蒸留所が並ぶように建設されています。そしてこれら3蒸留所は教会の教区が同じことから『キルダルトン3兄弟』と良く呼ばれます。

 アードベッグ蒸留所は1815年に建設され、1973年まではマクドゥーガル家によって経営されてきました。その後、カナダのハイラムウォーカー社とDCL社に買収されます。

 『キルダルトン3兄弟』の中でも本蒸留所は、その後の経営が非常に苦しく、ウイスキー不況も相まって1981年に一度閉鎖されてしまいます。その後も再建しようと試みられますが、上手くいきませんでした。その背景にはウイスキーの需要の問題だけでなく、当時のオーナーであるアライド社は、ラフロイグ蒸留所も保有しており、2つの蒸留所は必要でなく、設備の老朽化が進んでいたアードベッグ蒸留所は不要と判断されたそうです。そして、なんとたったの約13億円未満で売りに出され、購入したのがグレンモーレンジー社になります。グレンモーレンジー社のウイスキーのノウハウと、そのオーナーであるルイヴィトン社によってブランディングのテコ入れが行われ、当時では考えられない位の躍進を遂げる事となります。現在ではウイスキー界での革命児といっても過言ではありません。

テイスティング

 私がアイラ・モルトウイスキーで始めて飲んだウイスキー。遡ること、大学生。¥5,000を握りしめ、買える一番高いうウイスキーを買ったときに出会った銘柄。当時は、ウイスキーというものは殆ど知らず、スコッチとは何ぞや、アイラなんて聞いたこともないという状況でした。ただ、買える一番高いウイスキーを買ったというだけでした。

 しかし、飲んでみてびっくり!どう味わってもおばあちゃん家で飲んだ『正露丸』の味しか当時の舌ではしなかった。しかし、同時にウイスキーをもっと知りたい!!と思った一杯であった。

 飲むと非常にスモーキーさ、ピート香、ヨード香、たばこ?香とスパイシーな味わいであるが、その後バニラのような余韻が残る。いろいろなウイスキーを飲んで、アードベッグに戻ってくると、その奥の深さに痛感させられる。

 それでは飲んでいきましょう。

■ストレートで飲む

 まずは、ストレートで飲んで、香りと味を楽しんでいいきます。

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 潮の香りというよりは、ピート香やたばこのような香りがぐっと来るように感じます。また、アードベッグはアルコール度数46度であり、アルコールのツンとした香りが鼻にぐっときます。

 テイストについては、ピート香が来た後に、磯のような香りが口に広がります。その後かすかに甘さが来ます。とはいえ、アルコール度数が高い為か、アルコールのツンとした味がその香りとテイストを抑え込んでいる感覚があります。

 

■少量の加水で飲む

 アルコールの香が弱まり、磯の香りと甘さがより強くなりました。これこそ、島の味わいといった感じです。非常に飲みやすく、アードベッグの良さがより引き出された気がします。アルコールの存在感もあり、バランスが良いです。

■トワイスアップ

 アルコールのアタックが非常にマイルドになり、甘さが非常に引き立ちました。また、優しい磯の香りと味が口一杯に広がります。ピート香も柔らかくなり、飲みやすいです。心地よい甘さ!

ハイボールで飲む

 ん!クリアで飲みやすい!優しい磯とピート香があります。これだと和食と組み合わせても和食の繊細さと喧嘩しなさそうです。ストレートやトワイスアップとは全く違う印象を受けて、これはこれでよいです。癖が少なく食中向きです。

 

■ロックで飲む

 ヨードやピート香が強くなりました。飲むとぐっとアルコールの味の中に、磯の味を強く感じます。一方、甘さは殆ど感じなくなりました。

 

 色々な飲み方を試してみました。ストレートはどちらかというと、アイラ系が大好きな方向け、トワイスアップはこれからアイラ系ウイスキーを試してみたい方の入り口といった感じでしょうか。