ウイスキー、時々和食

-CHIKURYA WHISKY-

【スコッチ】スコッチはどのようにして世界で最も有名なウイスキーになったのか?

【1】スコッチが世界で有名になった理由・経緯について理解できる

 

 スコッチは18世紀後半~19世紀にかけて、世界に広まっていきますが、それまではスコットランドの地酒にすぎませんでした。そのようなウイスキーがどのようにして世界に広まっていったのでしょうか。それでは、見ていきたいと思います。

ブレンデッドウイスキーの誕生について

f:id:chikurya:20220108223012j:plain


 スコッチは元々、原料がモルトのみで造られるモルトウイスキーでした。また、当時は単式蒸留器といわれる、風味は確保できるが大量生産できない手法で蒸留を行って製造していました。

 スコッチが好きな方は、スコッチの個性に魅了されていると思います。私もその一人です。しかし当時の大市場であるイングランドではブランデーが飲まれており、ブランデーと比較して個性が非常に強いスコッチは一般的には受け入れられませんでした。

 そのような中、1831年に連続式蒸留器の発明が発明され、スコッチが大きく広まる事となります。連続式蒸留器の詳細は次回としますが、簡単に説明すると以下のようになります。

 

■単式蒸留器(ポットスチル)

・方法:理科の蒸留実験で行ったようなアナログな方法

・メリット:原料の風味が残りやすい

・デメリット:大量生産できない/万人うけしにくい味

f:id:chikurya:20211230213731j:plain

引用元:https://www.whisky.com/whisky-database/distilleries/details/ardbeg.html

■連続式蒸留器(パテントスチル)

・方法:一つの装置に単式蒸留器が複数個搭載されている様なノンアナログな方法

・メリット:大量生産可能/クリアな味

・デメリット:原料の風味が少なく、個性がない

f:id:chikurya:20220108223428j:plain

引用元:How to visit us_Visit | Kavalan Whisky

 この連続蒸留器によって、原料の風味を残す必要性が少ないトウモロコシ等の穀物を原料とするグレーンウイスキーの製造がされるようになります。グレーンウイスキーは別名『サイレントスピリッツ』と言われ、個性が非常に少ない為、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを合わせることで、万人受けする洗練されたブレンデッドウイスキーが生み出され、イングランドを始め世界中で広まる事となります。

ブドウ畑の病気蔓延による壊滅について

 

f:id:chikurya:20220108223719p:plain

引用元:ブドウネアブラムシ - Wikipedia
 イングランドの人々がブランデーを良くのんでいた事は前述した通りですが、そのブランデーの原料となるブドウが壊滅する事態が発生します。

 壊滅の原因はなんと『ブドウネアブラムシ(フィロキセラ)』という昆虫によるものです。ブドウの根や葉にコブを生成し、最終的に木自体を枯れさせてしまいます。

 ブランデーが飲めなくなったイングランドの人々は、代わりにウイスキーを飲むようになります。その頃にはより洗練されたブレンデッドウイスキーが誕生しており、ウイスキーがすんなりと受け入れられ、浸透していきました。

 ちなみに、ブドウネアブラムシはブドウの品種改良のため、ヨーロッパ外の土地から持ち込まれたブドウに付着していて、繁殖したらしいです。

 

以上、今回はスコッチが世界に広まった経緯について見てみました。